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  その手を取った人の話


突然変異なワケだから、それまでの生活を全て捨てて今に至るわけでしょ彼等。いつ、そうなったのか分からないけど、炎に包まれた手をそれでもとってくれた誰かはいたのかなって

つまり、バーニッシュになってしまったメイスについてきてくれた女の子がいたかもしれないって話。


悲鳴と怒号の中で、捕まるなんてごめんだ、とそう思った。逃げなくては、と。
体から吹き出す炎が止まらない。このままでは、彼女まで傷つけてしまうだろう。その前に。

「……じゃあな」

「っ、あ、やだ、行かないでメイス!」

彼女は、炎に包まれた手を、それでも取ってくれた。あつい! なんて悲鳴をこぼしてすぐに放してしまったけれど。

「バカヤロウ、何してんだ!!」

「だって、メイスが行ってしまいそうだったから」

「だからって燃えてる手をつかむ奴がいるかよ!?」

メイスが最初に学んだのは、彼女を傷つけないために自分の炎を消すことだった。



私も連れて行って、と、ひとりにならないで、と付いてきてくれた大切な人がいたんだ。

でも、普通の人だから、むしろ一番危ない目に遭っていて、彼女を手放してやらなきゃ、って悩んだりしてるかもしれない。そういうのもありですよね!!



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