*前の席の阿部くん (阿部隆也)

いつもなら野球部同士集まっていることが多い、前の席の阿部くん。


だけど今は珍しく一人でいるから話しかけるチャンスだ!

「ねぇ、阿部くん」
「どうした? みょうじ」

阿部くんの名前を呼ぶと彼が私の名前を呼びながら振り向いた。

阿部くんが名前を呼んでくれた。嬉しいなぁ。なんて呑気に思っていたけれど、阿部くんは他の女の子のことをあまり名前で呼んでいなかったような気が……。

「……あの、阿部くん。ものすごく失礼なこと聞くけど、阿部くんってクラスメイトの女の子の名前って覚えてる?」
「……あー、あんまし。ていうか、別に失礼じゃねぇよ。むしろ失礼なのはオレだしな。まあでも、お前はよく話しかけてくっから覚えてる」

そう言って、阿部くんはバツが悪そうに頭を掻くから、その言葉に胸が踊ってしまう。特別だと言われたわけでもないのに、少しでもあなたの瞳に写りたいと思っていたから、その言葉だけでどうしようもなく嬉しくなる。


これからも何度も話しかけようと心に決めて、今日も阿部くんとたくさん話をしよう。


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