*隣の席の栄口くんと (栄口勇人)
昼休み、隣の席の栄口くんとお弁当の話になったら、栄口くんが私のお弁当を覗き込んで言った。
「いつもお弁当美味しそうだよね」
「そうかな? 自分で作ってるから嬉しい」
「えっ、自分で作ってんだ!? すごいね!」
すると栄口くんはそう驚いた。だから勇気を振り絞って聞いてみる。
「栄口くんにも作ろうか?」
えっ、と栄口くんは再び驚き、そして何やら考え込んでいるようだ。
「うーん……。気持ちはすっごく嬉しいけど、オレの分まで作ってると君の時間がなくなっちゃわない?」
私のことを一番に考えて、残念そうに笑う栄口くん。
彼のそんな姿にまた好きが積み重なるんだ。
もしも私が、好きな人のためならそんなことなんともないよって言えたら、栄口くんは嬉しそうに笑ってくれるのかな。
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