相談

「っていう事があったんだけどどうしてくれるのよ、玲央」
『あらあら、なまえさんやっぱりモテモテねぇ』

電話越しに楽しそうな声が聞こえてきたので、こちらから電話をかけて一方的に相談紛いな事をしてるにも関わらず通話終了のボタンをタップしそうになった。
気持ちを落ち着けてから思い直したものの、このオネエめ絶対こうなるってわかってたでしょ…。

あの後空気を読んだ今吉が宮地達を連れて帰り、私はシャワーを浴びた後で赤司達と食事やら買い物やらに出かけた。
その行動中も、今まで以上に赤司の距離が近く、尚且つ黄瀬や紫原、桃井にまでも牽制しているようだった。
赤司の監視をすり抜けた黒子からもそれとなくアプローチされたが、なんともまぁ疲れる一日だったことは間違いない。
カラオケに行ったりもして、もちろん楽しかったことは楽しかったんだけど。

その後は赤司が家まで送ってくれた。
後で聞いたらカラオケ店を出てすぐ、解散する事になったので桃井と少し話している間にじゃんけんをして誰が送り届けるか、という賭けをしていたそうだ。
マンションの下に着いた時に、赤司からしばらく東京に滞在するという事を聞かされたので早速元凶(玲央)に電話をし、事のあらましを全て説明して今に至る。

『まぁいいじゃない。私は征ちゃんを応援するわよ』
「やめてよ…っていうかみんなそういうんじゃないでしょ。黛とも」
『もう終わってるものねぇ。一年くらいだったかしら?』

そう。私と黛は、かつて恋仲というやつだった。
でもお互いが二年に上がって、夏の終わりと共に関係も終わったんだ。

同じクラスで、同じ部活で、同じ趣味を持っていて。
その上性格までどことなく似ているという男女が仲を深めれば自ずとそういう関係にもなるというもので。

「…そもそも、赤司だってそういうんじゃないでしょ」
『あら?じゃあどういうつもりだと思ってるのよ』
「年下だけど、元キャプテンとしての心配みたいなものじゃないの。中学の時からそういう、気にかけてくれてるのはあったし」
『…征ちゃんも報われないわねぇ…』
「どういう意味よ」
『そのままの意味よ。もうちょっと男として見てあげなさいな』

別に、男として見てないわけじゃないんだけど。
でも後輩で、頼れるキャプテンで、それ以上でも以下でもないだけ。

『…私は去年みたいなあなたたちを見るのは嫌だからね』

玲央はそれだけ言い残して、プツッと電話を切ってしまった。
小さくため息を零してから、ソファに寝転ぶ。



(去年、か)



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