合宿

昨日はあのまま眠ってしまっていたらしい。

起きて慌ててお風呂に入って、軽く家事を済ませてからスマホを見ると玲央から着信が二つ入っていた。
ラインも来ていたので確認すれば、何かあったの?という心配の内容だったのですぐさま返事を打つ。

"ちょっと疲れてて寝ちゃってた"

そう返してすぐに電話がかかってきたので、驚いてスマホを落としそうになりながら応答する。

『心配したのよ。この時期は良く風邪引くじゃないあなた』
「ごめんごめん…今日練習は?」
『あら?征ちゃんから聞いてないの?』

今日から東京で合宿なのよ。いくつか練習試合も組んだって言ってたわ。
少し憂鬱そうにそう言われたけど、聞いてないし赤司とは話してないと返す。

『まぁ主将がいつまでも部をほったらかしにしてるのは良くないからって言ってたけど、それだけじゃない気もするのよね…』
「うん?何かあるの?」
『カンだけどね…。まぁ、せっかくだしどこか行きましょうよ』

ため息混じりにそう言っていたけど、いまいちよく分からないままに話が変わってしまったのでとりあえず承諾する。
そっか、玲央東京に来るんだ。
桃井に教えてもらったお店にでも行こうかな。

『試合見に来てよ、練習試合だけど』
「どことやるの?」

東京はたくさん有名な学校があるし、いくつかって言ってたから一つくらいは見に行こうと思い尋ねてみる。

『海常と秀徳と誠凛と桐皇よ…ほんと、やんなっちゃうわ』
「…見事にキセキ校ね」
『頼みやすかったみたい。強豪校との連戦の練習も兼ねてるって言ってたけど』

確かに、次の公式戦のことを考えても効果的な組み合わせだろうが選手としては気が重い部分もあるだろう。

『そろそろ着くみたいだから切るわよ。また後でね』
「わかった、がんばってね」

そう告げて通話を終了する。
行くとしたら秀徳か桐皇かな…誠凛戦は絶対行かない。

とりあえず今日は何も予定がないので、玲央から連絡が来るまで家で過ごそう。
赤司ほどではないがそこそこ裕福な家庭なのでバイトとかはする必要ないんだけど、さすがに一度も社会を経験せずに大学を出るのは不安もあるので求人サイトを開く。

やっぱり本屋かな、そんなに時給良くないけど。
でも本屋でバイトなんてしようものなら、この部屋全部小説やら漫画で埋まってしまいそうだ。

求人サイトを色々見ていたら、玲央からラインが入った。
どうやら明日誠凛、秀徳と。明々後日は海常と桐皇と練習試合をするらしい。
一校ずつじゃないのか…。

それなら明々後日行く、と返すと、待ってるわ、とスタンプで返ってきた。
合宿所に併設されている体育館でやるということで地図が送られてきたが、我が家からは徒歩15分ほどの距離だったので少し驚く。
赤司のホテルもここから近いしなんとなく予想はしてたけど、近いなぁ。

そもそもバスケを見ること自体は好きなので楽しみに思いながら、求人サイトに画面を戻した。



(みんなのプレイが好きだった)
(支えるのが好きだった)



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