男女

夕方頃、自由時間をもらえたとのことで玲央と待ち合わせする。

こちらに到着してすぐということもあり、少し練習して明日に備えての休養をという計らいだそうだ。
葉山も来たがったらしいが女子会だからといって置いて来たらしい。
女子…?と首を傾げたらちょっと睨まれた。

「久しぶりな気がするね」
「実際久しぶりでしょう。今までずっと顔合わせてたんだから」

時間が限られていたので桃井に教えてもらったカフェは諦め、近場のカフェに入って女子会を始める。
まずは玲央からの葉山の愚痴から始まった。

「相変わらずだねぇ」
「本当よ…もう三年なんだから、しっかりして欲しいものだわ」
「試合のときはちゃんとしてるのにねぇ」

そうね、と苦笑しながら飲み物を口に含む姿を見ていると、本当にこいつ男なのかなって思ってしまった。
…男でもないか。
そんなことを考え込んでいたらふと名前を呼ばれたので声の主を見る。

「昨日、泣いたでしょ」

自らの目元を指差しながら、心配そうに見つめられる。
メイクもしたし、時間も経っていたから隠せると思ったんだけどなかなか目敏い後輩に驚きつつも突っ込まれてしまったなら仕方ないので泣いた理由を話した。
もちろん、黒子との事は省いて。

「バカね…そんなこと気にしなくていいのに」
「でも、悔しかった。玲央たちはリベンジとかに転換できるだろうけど、本当に何も出来ないことが」
「そう思ってくれるだけで十分なのよ」

借りは必ず返すもの。
そう強い覚悟を宿した瞳で言われて、改めて羨ましいと思った。
男の子っていいなぁ。あ、男の子とは違うのか?

「私たちこそ、最後の年に負けるだなんて悪いことしたわね」
「ううん…しょうがないよ」

しょうがない。そう思えるようになったって事は、いくらか吹っ切れたってことなのかもしれないな。
やっぱり玲央と話すのは大事だ。

「話せてよかった。電話はしてたけど会って話すのとじゃ全然違うね」
「私もよ。まずは明日の練習試合で叩きのめしてやるわ」

多分これは、玲央なりの励ましだろう。
がんばってね、と告げて玲央を見送る。

付き合っていた黛より、後輩の赤司より、もしかしたら両親より玲央が一番私のことを分かってるかもしれない。
逆に私も玲央のことは知ってることが多い。

私にしちゃえば、と言われた時、別に嫌だとは思わなかった。
玲央は本気ではないだろうし、私を元気付けるための冗談だって事は分かってるんだけど。

好き、は、好き。
でも恋愛感情かと言われると、分からない。
友達で居て欲しいとも思う反面、ただの友達も嫌とかなかなかわがままなものだ。

好きな人は誰なのかと考えたときに頭に浮かぶ顔の一つではあるけど、今の関係を崩したくないとも思ってしまって。



(明日、誠凛との試合見に行こうかな)
(もやもや吹っ切れるかもしれないし)
(…洛山が負けたらどうしようかな)

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