苛々

黄瀬、黒子、火神くん、私という良くわからないメンバーでのマジバお茶会。

黄瀬が喋って、火神くんが食べて、黒子が聞いて。
私は今日の夕飯を何にしようか考えていた。

「火神っちほんとよく食うッスね…」
「見てるこっちがお腹いっぱいになります」
「いつもよりは少ないけどな」

既に食べ終えた分の包み紙が散乱しているのを見て苦笑する。
…今日は夕飯、いらないかな…。

正直、火神くんや誠凛の人とはあまり会いたくない。
中学は帝光、高校は洛山で、私がマネージャーを務めたうち5年間負けたことがなかった。

そんな私が最後の6年目で敗北を教えられた相手なのだから。

選手たちと違って、好敵手などとして良い思い出になんてできそうもない。したくもない。
…そう、意地の悪い所は女らしい部分なのかも。

「っていうか黒子っち、近くないッスか」
「何がですか?」

ぶすっとして言う黄瀬に、バニラシェイク(中身は聞いてないけど多分そうだろう)を飲みながらしれっと答える黒子だが、確かに私も黄瀬と同じことを思っていた。
椅子同士がくっついていると言えるくらいに、隣の黒子と私の距離が近かったのだ。

「なんだよ、黒子の彼女だったのか」
「違うわよ」

ハンバーガーを食べ終えたらしい火神くんがそんなお門違いな事を言って来たので、つい不愛想にそう即答してしまった。
黄瀬はそんな私の様子に驚いているし、黒子はちょっと悲しそうにこちらを横目で見ていた。

「…付き合っているわけではありませんが、手を出さないでくださいね。火神くん」
「しねーよ!っつーか、初めて会う相手にそんなこと思わねーって」

と、火神くんが言った所で、私の不機嫌が最高潮に達してしまう。
初めてじゃないわよ、ばかじゃないの。

まぁそうね、自分が負かしたチームの、ましてやマネージャーなんて覚えてるわけないわよね。
黒子に呼び出された時あなた隣にいたけどね。

「…黄瀬、黒子。今日はもう帰るね」

ガタンと大仰に音を立てて椅子を押して、彼らには目もくれず出入り口に向かう。
寝不足ということもあってかイライラしやすいみたいだ。後で黄瀬と黒子には謝っておこう。

Suicaを取り出して改札を通り、電車を待っている間にまず黄瀬にラインをして、次に黒子へのラインを送信した直後に背後でラインの通知音が鳴った。
すごいタイミングだな、と思い振り向くと、今しがた私がラインを送った相手が立っていて。

「…声はかけましたよ」
「ごめん、気づかなかったみたい」
「送ります。もう暗いので」

どうやら店を出た時から付いてきてくれていたらしい。



(火神っち、なまえ先輩に会うの初めてじゃないっしょ?洛山のマネージャーッスよあの人)
(あ!そういやそうだった…)
(あんな美人忘れるとか火神っちホモッスか?)
(ちげーよ!)

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