日常
『なまえさんどんだけ私のこと好きなのよ』
「好きか嫌いかだったら好きよ。だって玲央しかいないもの」
開口一番電話口から聞こえてきたのは、呆れ返った玲央のそんな言葉だった。
いつもより遅い時間にかけたので、今日はかかってこないと油断してたわ、と残念そうな言葉も一緒に。
『それで?今日は何があったの?』
「何も。桃井とデートした」
『何もないのに電話してくるなんて、あなた私をなんだと思ってるのかしら』
「友達でしょ。寂しいのよ」
お風呂も済ませたので、あとは寝るだけ。
ベッドに寝転んでいたら、つい本音がこぼれてしまったのだが玲央の返答はため息だった。
『あのねぇ…』
「何よ」
『そういうところが男を勘違いさせるのよ』
心底呆れた、というような声色で言われたけど、意味が分からない。
『なまえさんが寂しいときに頼ってくれたのは嬉しいけど、そういうのは征ちゃんにしてあげなさいな』
「赤司じゃなくて玲央と話したかったの」
『またそうやって…知らないわよ?』
「だから、何がよ。教えてよ」
煮え切らない玲央の反応に少し苛立ちつつ問いかける。
返事はまたため息だけだったけど。
『もういいわ。私はなまえさんのそういうところ好きよ』
「ありがと。そういえば今日赤司にも会ったよ」
ゲーセンにいた、と伝えたら、似合わないわね…と桃井たちと同じことを言っている。
今日の出来事やらを話し合っていたらあっという間に時間が過ぎてしまっていたようで、ベッドサイドの時計が23時を示そうとしているところだった。
「え、もうこんな時間。玲央大丈夫?」
『明日は練習休みだから。でもそろそろ寝ないとね』
お肌に良くないわ、と言った玲央は、本当に私より女子だと思う。
(勘違いしてもいいならするわよ)
(結果は分かってるけどね)
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