ストーカー、悩む

あのあとなんとか取り繕って、半ば逃げるように赤司くん達と別れた。

赤司くんの質問は結局答える事が出来なかったのでごめん、と謝ったら逆になんかすごく申し訳なさそうな顔をされた。
正直あの赤司くんがそんな顔をするなんて思ってなかったからちょっと面白かったって言ったら絶対に殺されるだろうから心に秘めておこう。

黛先輩の事は、本当に本当に心の底から大好きだ。
ただ、触れ合いたいとか、傍に居たいのか、と聞かれると、YESともNOとも言えないような気がする。

だってずっと、遠くから見つめてるだけだったし、それに満足しているから。
っていうかそもそも黛先輩が私なんかに振り向くとは思ってないっていうのもあるけどね!

「ただいまー!」

大きな声で帰宅を知らせるものの、今の時間は親は不在なので当然返事はない。
小さい頃から両親は共働きでこういう事は慣れているしむしろ今は一人でよかった。
親相手でもちょっと会いたくない気分というか、なんていうか黛先輩を眺めたい気分だけど今日は先輩もう帰っちゃったからなぁ。

テスト期間中ではあるけど勉強する気分になれないのは珍しい。
どうしようかなぁ、友達誘ってどこか行こうかな。でも怒られそうだな、あの子成績やばいって嘆いとったもんな。
とか、着替えもせずにぐだぐだスマホをいじっていたらラインが入った。

"なまえ、今日はすまなかった。"

送り主はまさかの赤司くんで、謝罪の内容だったんだけどなんで謝られているのか全く理解できずスタンプで"?"とだけ返した。
謝られるようなことされたっけ、黛先輩と一緒にマジバなんて人生最大のイベントをセッティングしてくれたんだからむしろこちらがお礼をさせて頂きたいほどだ。

"千尋の事だ。余計な事を言った。"

赤司くんでも謝れるんだなぁとか感心していたら返事が来て、何故謝られたのか理解する。けど。

"別に赤司くんは何も悪くないよー!こちらこそごめんね"

と入力して、土下座しているスタンプを添えて送信する。
そういえばバスケ部に入った時に連絡手段としてライン交換したけど、実際ラインするの初めてかもしれない。
初めてやわ、ログないもん。

"そうか。ならいいんだが、あまり無理はするなよ。"

なんやろ、普段こういう事言わない人やし、表情がわからないからどう受け止めたらええかわからんな…。
何か裏があるんちゃうやろか、と身構えてしまうのは私の悪い所かもしれない。
ありがとう、と短文で返し、気を紛らわせようと勉強を始めた。



(なんというか、あの赤司くんが心配とかできるんやなぁって思ってしまったわ)
(絶対怒られるやろうけど明日言ってみよかな)


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