みんなでストーカー

赤司くん、実渕先輩、葉山先輩を引き連れて、いつもよりかなり距離を空けて黛先輩を追いかける。

「こんな遠くからで良く見失わないわね、なまえちゃん…」
「いやいつもはもっと近いんですけどさすがにほら…」
「というか、この状況でも諦めない所は尊敬するよ」
「えへへ…」
「褒めてるわけじゃなくね?」

赤司くんに尊敬されてちょっと嬉しかったんだけど褒められてるわけじゃなかったらしい。悲しい。
今日は黛先輩はまっすぐご自宅に向かっているらしく、自慢の眼力で必死に追いかける。
後ろ姿だけであんなにかっこいい人ってこの世に存在していいのだろうか、いや良くないだろうこの世の女性がみんな虜になってしまうっていうかその前に気付かないか私くらいかそうか。

道中すれ違う人々にはそれはそれは冷ややかな目で見られているものの、そんなことに屈するような生ぬるい愛ではないのです。
黛先輩がご自宅に入るのを見送って、ふぅ、と恍惚のため息を吐いたら赤司くんからも冷ややかな視線が注がれた。

「今日はこんなバカな事をしないで済むように千尋も連行したんだが、結局無駄だったようだな」
「征ちゃんやっぱりそういう事だったのね」
「え!さすが友達!」
「お前の日課のせいで千尋の勉強に影響が出ないようにするためだ。なまえの為じゃない」

ツンデレ!?いやこれは本心やな。もうわかる。
でもそうか、黛先輩の邪魔になっちゃってたのか…じゃあテスト期間中は控えた方がええんやろか…。

「赤司ー、なまえ落ち込んじゃったじゃん!大丈夫大丈夫、気にすんなって!」
「それにしても本当になまえちゃんは黛さんの事が好きなのねぇ。応援したくなっちゃうわ」
「ありがとうございます先輩!がんばります!」
「…そもそもなまえは、その気持ちを千尋に伝える気はあるのか?」

先輩方が優しい言葉をかけて下さったので、ガッツポーズしながら返したら腕を組みながら赤司くんがそんなことを聞いてきたので首を傾げる。
言っている意味が分からないという理由ではなく、そう問いかけられてすぐに答えが浮かばなかったからだ。



(…何故そこで泣きそうになるんだ)
(あー赤司泣かしたー)
(征ちゃんったら…女心がわかってないわねぇ)


[ 9/31 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -