気付いたストーカー

実渕先輩からの爆弾発言に、精一杯頭をフル回転させる。

筋肉バカっていうのは根武谷先輩だろうけどみんなってバスケ部のみんなってこと?
バレバレか?バレバレなのか?
っていうか、え、もしかして。

「ま、黛先輩…も…?」
「えーっと…」
「…千尋は気づいていないようだ、安心しろ」

一縷の可能性に縋るように実渕先輩に詰め寄ったら気まずそうに視線を逸らされて絶望を感じていたら、赤司くんが生き返らせてくれた。
ありがとう赤司くん、赤司くんが言う事なら間違いないね!信じるよ!?

「あの人はそういう事には疎いものね」
「そ、そうそう、だから安心していいんじゃね?」

にこっと可愛らしい笑顔を向けて下さった葉山先輩が天使のように見えるなぁ。
それにしても本当によかった、でもなんでばれたんだろう。
あんなに厳重な隠密行動をしていたというのにさすが黛先輩の影の薄さに慣れてる洛山バスケ部というべきか。

「それにしても黛サンのどこがいいんだよなまえ」
「え、それ聞いちゃいます?」
「聞かないほうがいいぞ小太郎」
「私も聞きたいわね。でも戻ってきちゃったみたい」

残念ね、と小さく左側の実渕先輩が呟いて、右側の赤司くんは安心したようにため息を吐いていた。
せやな、赤司くんだけにって約束したもんな。
でもバスケ部の人なら問題ないんちゃうかなどうせ知られてるんやしあぁでも私が恥ずかしいわ、やめとこ。

「…落ち着いたのか」

私の様子を見て感情の読めない表情でそう呟かれたので、はい!と大きく返事をしたら赤司くんに叩かれた。うるさい、だそうだ。
そのハンカチ!ちょっとそこ変わってくれん!?私の方がもっと黛先輩の手の水滴吸収できると思う!無理かな!?ごめん!

「そろそろ解散しようか。小太郎、永吉、きちんと予習しておくんだぞ」
「間違ってもバスケしに行ったらダメだからね」
「う…はーい…」
「バスケしてぇなぁ…」

帰り際、実渕先輩が釘を刺すと葉山先輩と根武谷先輩がしゅーんとしていたので本当にバスケが好きなんやなぁ、と微笑ましく見つめていた。
私も明日明後日のテスト期間中は趣味を控えねばならない。

「じゃあ、また明日」

赤司くんのその一言でそれぞれ帰路に向かう、が。私は日課があるのだ。
黛先輩の背を電柱の陰に隠れてこっそり見守って、よし、行こう。と足を踏み出した。

「なぁなまえ、これ楽しいのー?」
「ちょっと小太郎、黛さんに気付かれちゃうでしょ!静かにしなさいよ」

一歩足を踏み出した状態で、立ち止まってしまった。



(は、え…え?)
(いいだろう、もうバレてるんだから)
(よ、よくない…!)



[ 8/31 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -