襲来

「こいつが征、で合ってるか?」

ヒーローさん…もとい、エンガさんが意識を取り戻した私に問いかける。
頷いてから赤司くんを見ると、すごく不安そうな顔をしていた。

あの後気を失ってしまったらしい私をエンガさんは抱きかかえて、シエラさんの指示に従って赤司くんのいる生徒会室まで運んでくれたらしい。
ちなみにステルスなんちゃらみたいなのを使っていたので生徒会室までは誰にも見られていないとのこと。

「赤司くん…」

赤司くんの顔を見たらなんだかどっと安心感と疲労感が湧き上がってきて、エンガさんが私をそばの椅子に下ろしてくれた瞬間涙が零れてしまった。
怖かった、本当に怖かった。
生身だと何もできないことが本当に怖くて、逃げる事もままならないことがもどかしかった。

「なまえ…何があったんだ、この人は?」
『シエラ:征さん、私が説明します…ぷそこさんには本当に怖い思いをさせてしまって申し訳ないです…』

赤司くんがこちらに駆け寄ってきてくれて、そっと頭を撫でてくれた。
シエラさんが一連の出来事を説明した後、撫でる手が止まり彼の方に引き寄せられたかと思ったらそのまま赤司くんの腕の中にすっぽりと身体が収まってしまう。

「…助けて頂いてありがとうございました。でも、どうしてダーカーがここに?」
「原因はわからない。こちらで発見されているのは、エーテルによって具現化された幻創種だけだったはずだ。…だが、今日現れたのは幻創種ではなく、純粋なダーカーだった」
『シエラ:恐らくですが…ぷそこさんがオラクルから戻った際になんらかの影響で時空に歪みが生じ、その隙に地球側への干渉がなされたという事かもしれません…』

今情報部に確認を急いでいます、と、深刻そうな様子でシエラさんが言う。
私はまだ震えが止まらず、赤司くんに縋りつくようにすることしかできなかった。

「一応自己紹介しておくぞ。八坂炎雅だ、天星学院高校3年。…確か生徒会の妹が前に挨拶に来てるはずだ」
「天星学院…そういえば昨日来ていました。アークスの方…ですか?」
「なんて言ったらいいんだろうな、一応所属は"アースガイド"ってことになってる。"アースガイド"っていうのは…まぁ、今話す事じゃねぇな」
『シエラ:とりあえずエンガさんは今日一日、彼らについていて頂けますか?ヒツギさんとコオリさんも合流して下さるそうなので…状況がわかるまでは、ひとまず』

と、シエラさんがそこまで言った所で、校庭の方で爆音が響いた。
赤司くんが私を抱きしめる力が強まり私も身体を強張らせると、エンガさんはツインマシンガン…具現武装と言うらしいそれを構えて窓に向かう。

「…シエラさん、ちっとまずい状況になってるみたいだぜ」
『シエラ:地球上にダーカーの反応多数!これは…一体…!?』
「ヒツギたちに急ぐように言ってくれ!」
『シエラ:ぷそこさん、征さん!狙いは恐らくあなたたちです!逃げてください!』

そのシエラさんの声と同時に赤司くんと顔を見合わせ、一つ頷いた後に椅子から立ち上がってホログラムのシエラさんを見た。
私も赤司くんも、考えていることは同じらしい。



(私たちも戦います!戦う力をください!)
(具現武装はそんな簡単には顕現できねぇよ!さっさと行け!)
(…うぅ…)


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