ダーカーホイホイ
おはようございます、みょうじなまえです。
今、私は、今まで運動会でも発揮した事がない走力を全力で発揮しています。
もしかしたらこれは夢の中なのかもしれない。
それかPSO2の世界に寝ている間に入り込んでしまったのかもしれない。
でも私はただ、朝目を覚まして、軽くシャワーを浴びて、着替えて朝食を済ませて、家を出ただけなはずだ。
来ている服もオラクルでのものではなくて我が洛山高校のものであり、洛山高校女子制服・レプカが実装されたなんて聞いたことがない。
それなのに、何故、今ダーカーが私を追ってきているのだろう。
まだダガンとミクダさんだからよかった。
エルアーダとかリューダソーサラーとかだったら死んでた。絶対死んでた。
「うわあああん!シエラさあああああん!」
絶叫しながら走り回る私の姿を通行人の皆さんはどんな気持ちで見ているんだろう。
あれ、でも今のところ一人もすれ違ってないな。
っていうかシエラさん!シエラさん何かあったら呼んでって言ってたじゃん!呼んでるじゃん私!
「なんっ…で…っ!もう、や…っ」
息を切らしながら見慣れた通りを学校に向けて走る途中、ついに私の右足が左足を蹴り飛ばした。
全力疾走していたので蹴られた右足も痛ければ蹴った左足も痛い。
ついでに転んで地面と熱烈なキスをした膝と掌も痛い。
慌てて振り返ると眼前にダガンが迫ってきていた。
お父さん、お母さん、…征くん。
ダガンが前足を振り上げた時、数々の思い出が走馬灯になって脳を駆け巡った。
強く目を瞑る、が、痛みも衝撃も、ない?
「あっぶねーな、ほら、大丈夫か?」
ダガンの悲鳴が聞こえて、次に目を開けたときには誰かの後姿が見えた。
髪が赤いけど、口調も声も幼馴染みのものではなくて。
「…えっと?」
「炎雅だ、八坂炎雅。シエラさんの命令で駆けつけたヒーローってとこだな」
『ちょっとエンガさん!まるで私が暴君みたいな言い方しないで下さいよ!ぷそこさん、ご無事ですか?お怪我は!?』
私に手を差し出して優しく微笑む彼の横にホログラムが現れて、そこに映し出されたシエラさんが心配そうにこちらを見ている。
あぁ、もう、よかった…。
(ちょ、おい!…気ィ失ってんぞ)
(シエラ:えーっと、ちょっと征さんの現在位置を確認しますね!ほらエンガさん、ちゃんと優しく抱き上げてくださいよ!)
(は!?)
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