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ドアを不用意にあける大人の話 2KNOCK


...ふわあああ。よく寝たわ。...暑い。ん、おでこは熱いわ。
今何時だ?ちらっと時計をみるとまだ12時30分。
ちょっと体温計取ってこよーっと。
ふらふらした足取りで階段を降りる。さっきよりも熱上がってそうだなー。

リビングの扉を開けると、男が3人...とAVの喘ぎ声。
「あ」

...最悪だ。そういえば俺、見つかりたくなかったんで2階で寝てたんだった。
うわあああ!!なんで覚えてないの!俺!馬鹿!馬鹿すぎ!

「え...なんで兄貴いんの」
「あ、お兄さん?おじゃましてまーす」
「してまーすっ!」
「いや、熱あって大学早退して、帰って寝てたんだよ」
「何度?...看病、したほーがいい?」
「大丈夫だよ、こんなに元気だか、らっ...」
「わっ兄貴?!ちょっと!」

元気をアピールするために、腕を曲げようとしたら、ふらっと崩れて力が抜けていく体。
ああ...けっこう頭使ったからかな。しんどいや。
真琴くんの腕に収まると同時に、安心感を覚え自我は夢の中へ消えていった。


「んー、ふわあ、...」
起きると同時に目に入ってくる3人の顔。
あ、俺倒れたんだっけなあ。みっともねー。
ふと無意識に時計を見ると、目に入ってくる3時の数字。
うわーくっそ眠ってんじゃん。昼食べてないし。

「起きた?てか兄貴昼飯食べたの?」
「ん、食べてない」
「まー俺ら作れねーしな」
「だと思った」
「大丈夫ですか?」
「ああ大丈夫だよ。ごめんね、心配かけて...もういーから遊んできていーよ」
「や、それなんすけど......」

ん?あ、AV見てたことがバレてるのに、今更隠してるのかな。
真琴くんの友達の顔を覗き込む。

「どうしたの?」
「いやね、兄貴。これは言っていいか、俺賭けに出てんだけど...」
「賭け?どゆこと?真琴くん」

「ヤりたいんだよね」

は?誰と?

「ん?誰と?てゆーか、ヤりたいってやっぱりあっちの意味?」
「兄貴と。そゆこと」
「は、誰が」
「俺らが」

...何いってんのこいつら。いや俺も伊達に彼女いて2年経ってるんで言うけど。

「いや俺彼女いるけど」
「そっちの方が燃えるって、こいつが」

肩を抱いた友達を見るとキラキラした目で話し始める。
なんと言うかその友達はバイだそうで、真琴くんたちも分かってるらしい。
で俺が倒れた時、初顔合わせで一目惚れだって。
いやいや、納得なんてしないけど。無理。いや真菜が大切なんで、やです。ほんとに。

「いやでも嫌なんだけど。しかもなんで、俺ら、なの」
「面白そーだったから、ノリました」
「だから兄貴に一か八か賭けたの」
「でも嫌だ、今日学校だろ?今から行けよ。これからはサボんなよ」

行った行ったと3人の肩を押すとぐいと手首を掴まれる。

「、いった」

顔を上げると、にやりと口角を上げた真琴くんが呟く。
怖い、この鳥肌はこれから起こる何かを予想していたのかもしれない。

「そうなると思ってたよ。だから賭けたんじゃん。俺の力にかなうかって、無理矢理でごめんね?」

ごめんねというその口は笑っていて、真琴くんが真琴くんじゃないみたいに見えた。


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