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TFあどべんちゃあ:TFPとクロスオーバー編@



*サイドスワイプが過去の地球(prime編)にタイムスリップする話。




「たまにはサイドスワイプに、君の過去の偉業を教えたらいいのではないか?」



…と、先日ラチェットから父親たるもの、息子にナめられないように躾と称してプライムの偉大さを教えとけ!とありがたいアドバイスを受けた私は、休日(バイト)の朝っぱらからサイドスワイプを叩き起こし、二人揃ってサイバトロン歴史資料館へ訪れた。

「…何でこんな朝っぱらから、こんな辺鄙な場所に来るんだよ…寝たかったのに」
「そう言うな。たまにはお前にもサイバトロンの歴史を知って欲しくてね」
「んなもんとっくにアカデミーで習ったっつーの…ふあ〜ぁ、ねみぃ…」

入場口でやたら恐縮している受付係からパンフレットを二枚受け取ってサイドスワイプに一枚手渡してやると、寝起きで不機嫌な息子はぶーたれながらも渋々受け取った。
すぐにクシャッと丸めて振り回しそうになる所で容赦なく頬をつねってやる。

「いででー!いひゃいいひゃい!?」
「せっかく貰ったものを無駄にするんじゃない。さ、入ろうか」
「うう…鬼親父め(まだヒリヒリしやがる…)」

涙目で腫れた頬を抑えるサイドスワイプを引きずりながら私は歴史資料館の中へ足を踏み入れた。
その時、私は気づかなかった。
入り口に飾られている星図レリーフのとある1つの惑星が、淡く青色に光っていたことなどーー





「あなたが伝説のオプティマス・プライムですね!初めまして、ボクはフィクシット!これからお二人をご案内させて頂きますー!」

入場口を潜ると、やたらオプティックを煌めかせた小さなオレンジ色のマイクロンが出迎えてくれた。
サイドスワイプがギョッとする。
私は笑顔を浮かべ、目線が合いやすいように低く屈んだ。

「やあ、初めましてフィクシット。これは息子のサイドスワイプだ。館内の案内をよろしく頼むよ」
「はい、喜んで!あの偉大なプライムをご案内できるなんて身に余る光栄です〜!精一杯ご案内させて頂きますのでよろしくお願いします!」
「お、おう。よろしくなフィクシット」
「ーああ!あなたは噂のサイドスワイプさん!?」

サイドスワイプを見た瞬間、オプティックの輝きを一層増して異常接近したフィクシット。
感極まったのか、急に足にガシィ!としがみ付かれ、サイドスワイプがドン引いている。

「うえぇっ!?な、何だよ急に!?」
「貴方の噂も聞いてますよ〜!プライムに似てハンサムな息子のサイドスワイプさん!」
「そ、そうなのか…?」

容姿を褒められ、照れるサイドスワイプをフィクシットは憧れの眼差しで見上げる。

「それはもう!後は深夜の暴走チンピラ野郎とか、赤い暴走車のスワピーとか!数々の異名を知らないマイクロンはいません!」
「何だよその通り名!?」
「…どれも私には初耳だなぁ。サイドスワイプ、kwsk」
「うげ…!いや親父、これはそのあのな…!」
「さーさどうぞこちらへ!まずはサイバトロン星の有史以前の成り立ちからご説明致します〜」




正直言うと、館内の展示は興味深いものもあるが、今の俺は眠気が優っているためにフィクシットの説明の半分も頭に入っていない。
俺の前を歩くデカい親父の背中と、親父の膝下よりもこれまた小さなマイクロンをぼんやりしながら見つめていた。
さすが何百億年も続く古き良きサイバトロン星の歴史が詰まった資料館。
広いなんてもんじゃない。
下手すりゃ1日掛かるぞこれ…もうテーマパークじゃねーか…
ふぁ〜とまた欠伸を1つ。

(あー、早く終わんね〜かなぁ……んお?)

ふと俺は、微かな照明のみの薄暗い展示室の前で足を止めた。
その中を覗くと、巨大な輪っかのような装置が鎮座されていた。展示名は《スペースブリッジ》と書いてある。
スペースブリッジ。
親父から聞いたことがある。何でも空間と空間を繋いでワープが出来る移動装置だとか。
確か、親父が地球にいた頃はグランドブリッジってやつを使ってたんだっけ?

「地球かぁ…どんな所だろうなぁ」

そう言えば、地球にいた頃の思い出を親父から聞く時はとても懐かしそうに語っていた。
…あまり戦争の事は話したがらないけど。
俺はなんとなく気になって、その展示室に入って見た。
スペースブリッジに間近に寄ってしげしげと眺める。見た目はただの輪っかにしか見えないが、本当にこれでワープ出来たのかぁ?
そう言えば、と俺は周囲を見渡してみる。
スペースブリッジを操作するための装置とかがあるはずだが…あ、あったあった。
俺はその装置に近づいてパネルを見てみると、何故かしっかりと起動していることに気付いて驚いた。
しかも、行き先は…地球!?

「何でこれ動いてんだ!?確かエネルゴンが供給されないと動かないんだろ…?」

赤く光るスイッチがビコビコと点滅している。
まるで『早く押せ!』と主張するように。
うーん…ドラマの主人公ならこれ押すんだろうけどなぁ。
世の中漫画みてーに行くわけがない。
でも、親父がいつも話している地球に一度は行ってみたい。
いや、でもなぁ。

「ーーサイドスワイプ?どこだ?勝手に逸れないでくれ」

遠くから親父の声が聞こえて俺は我に帰る。
そうだ、早く二人に合流しないとまたどやされーーー…

その時だった。

スペースブリッジが突然起動し、蛍光色の光が部屋中に溢れ出したのは。

「なーーーー」

その光はまるで俺を狙うかのように、あっと言う間に目の前を覆った。

「ーーーサイドスワイプ!?」

入り口に駆けつけた親父とフィクシットが、驚愕した表情で俺を見ていた。

「ダメだ、行くなぁーーーー!!」

駆け寄って来る親父が俺に手を伸ばして来たが、その手を掴もうとする前に俺はワープしてしまったらしい。
悲鳴のような親父の声を遠くに聞きながら機体は光の中に吸い込まれ、視界は光に包まれてゆくーーーそして。

「おや、じ……」

そのまま意識はシャットダウンした。









………なぁ、○○○○○。私はこの子を育ててみようと思うんだ……私の身代わりにするとか、そんなつもりは一切ない…ただ純粋にこの子を愛したいだけなんだ…

…君が望むなら私は反対しないさ。そう言えばその子の名前は決めているのか?…

…ふふ、そうだな…実はもう決めているんだ…

…この子の名前は…













「…ねぇミコ。本当にこんな場所にトランスフォーマーがいるの?だってここスクラップ場だよ?」
「絶対だって!間違いないんだから!実際基地のレーダーにも反応あったじゃん。だから先に私達が見つけてオプティマスをあっと言わせちゃうんだから!ね、スモークスクリーン?」
「そうだな!相手がオートボットならオレ達の味方になるし、ディセプティコン共に見つかる前にオレらが見つけないとな!」
「たまたまドライブの途中だったじゃない……まだ反応があったって言ってもまだトランスフォーマーだってハッキリ決まった訳じゃないのに。後でラチェットに怒られても知らないよ〜」
「何よラフの意地悪!ーーーあら?ねぇ、あのやたら赤いスポーツカーがスクラップ場のど真ん中にあるけど、ひょっとしてあれ?」
「お、本当だ。傷一つない真っ赤なスポーツカーなんて明らかに怪しいよなぁ」
「え、嘘?あ…本当だ。赤いスポーツカーがいる……」
「動かないな…」
「ね、近づいてみようよ!あれは間違いなくトランスフォーマーでしょ?」
「でも、急に近づくのは危険じゃない?」
「んじゃ、まずはオレが近づいて調べてみるよ」

スモークスクリーンは子供達を下ろしてトランスフォームすると、銃を抜いて赤いスポーツカーに慎重に近づいていく。
そしてそっとスポーツカーのボンネットに手で触れると、相手を刺激しないようにゆっくりと警告する。

「…おい。生きているか?オレはオートボットのスモークスクリーンだ。…アンタは一体何者?トランスフォーマー?オートボットかディセプティコンか?」
「う、うう…」
「え、喋った!?」
「やっぱりトランスフォーマー!?」
「ちょ、ミコ!まだ近づいたら危ないって!?」

嬉しそうに駆け出す謎の生き物の後ろからまた謎の生き物が走ってくる。
何だあれは?
いや、それよりもここは…

「俺は…俺は……」

「…サイドスワイプ…」

「ここは………地球か…?」

「そうよ、ここは地球よ!」

「マジか………」

何で今までサイバトロン星にいた自分が地球に。
…と疑問を浮かべた瞬間に、俺の意識はまたもやシャットダウンしてしまった。


(Aに続く)

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