11月お題 | ナノ


11月6日:風の中で優しいキスを(TFP:ホイラチェ♀ぎにょ)



たまにはこういう趣向もいいではないか。
「キスがしたい」
誰もいない森の中。まるで姫君のように跪き両手を握りながら恭しく見上げれば、顔を真っ赤にした可愛いらしい軍医がこちらを睨み付けていた。
「お前、何なんだその真似は」
戸惑いを隠せずに怒ったような口調で聞くラチェット。
ああ、無理もないとホイルジャックは思う。彼女は昔から女性らしい扱いなどまるで皆無だったらしい。だから、ホイルジャックにまるで騎士のような振る舞いをされても恥ずかしいだけなのだろう。
「だいたいお前さんは侍じゃなかったのか?似合わない真似なんかするなよ。それとも私をおちょくっているのか」
「まさか。俺は大真面目だぜ」
「おーーー」
い、と言葉が続く前に立ち上がったホイルジャックがラチェットを抱き締める。
離せ、と抗議しようと開きかけた唇を強引にホイルジャックのそれに塞がれた。
いよいよ困惑するラチェットの頭を無骨な手が優しく撫でる。そのおかげか幾分緊張が解れたラチェットへ愛おしげに愛を囁く。
「いつだってアンタは女だよ」
「…バカ」
ソッポを向いても赤いままの頬にもう一度キスをした。



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