11月4日:ひとつだけ魔法が使えるなら(ADV:オプティマスとバンブルビー)
もしも一つだけ魔法が使えるとしたらどうする?
と、唐突にそんな他愛もない質問が仲間達から飛び出した。ワイワイと各々が使いたい魔法を口にする中、ふとバンブルビーは隣にいるオプティマスにも聞いてみたくなって振り返る。
「オプティマスならどんな魔法を使いたいですか?」
「私か?…そうだな…」
ふむ、と顎に手を当てるオプティマス。
すぐに答えるかと思いきや、意外にも数分ほど黙考した彼にバンブルビーはだんだん不安を感じ始めた。
(この人は何を真剣に考えているのだろう…)
真剣に悩むその表情が、どこか寂し気にも見える。
もしや、彼は寂しいのだろうか。
…何に?
…誰を?
「私なら」
グルグルと回る思考の海に沈んでいたバンブルビーを急に現実へと引き上げた声にハッと顔を上げた。
「…もう一度彼に会いたい、かな」
「彼?誰ですか?」
「秘密だよ」
オプティマスはふっと笑ってそれ以上の事は語ろうとしなかった。
だから、バンブルビーもそれ以上何も聞かなかった。
彼の背後にあの銀色の後ろ姿が見えたような気がーーしたから。
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