TFADV短編(10月お題) | ナノ


10月3日:きらめく時の砂を君の手に(鹿蜂)



「これやるよ、蜂隊長」

いきなり現れていきなり胸元にぐいぐいと押し付けてきた謎の小瓶と、明後日の方向を向きながら無愛想に言い放つサンダーフーフを交互に見たバンブルビーは、一瞬プラスターを抜いて距離を取るべきなのか非常に迷った。
奇襲…にしてはなんだか妙だし。
かと言って友好的な態度にも見えない。
何とも判断がつかないバンブルビーに業を煮やしたのか、サンダーフーフはチッと舌打ちをすると押し付けていた小瓶の蓋を取って、中からカラフルな小粒の塊を1つ取り出した。
何だそれと思った瞬間、突然腰に手を置かれて抱き寄せられたかと思うと、開いていた口に小粒を持った指が勢いよく突っ込まれた。
喉奥まで押し入った指にえづいたバンブルビーは、慌てて口から引き剥がして涙目でえづく。

「うぇっ…おぇぇっ……!な、何をするんだ急に!?………て、あまい…?」
「エネルゴンで出来た飴らしいぞ。フラクチャーから貰った」
「あ、飴って…何だってそんなものをお前に」
「知らねーよ。どーせカードゲームの賭け品だしなぁ。俺は甘いもん食わねぇからテメェにくれてやる」
「…何でそんなものを俺に」
「感謝しろ」
「いや、理由を聞いているんだけど」
「これでテメェの中で俺の好感度が上がるってもんだろ?」
「あ、上がるか!上がってたまるかそんなものー!て言うかいい加減離してくれ!」
「やなこった」

ジタバタと抵抗するバンブルビーだったが、そこはディセプティコンの中でも体格差のあるサンダーフーフ。
腕の中でバンブルビーが必死で暴れようとも容易く抱き込んでしまい、果てには疲れ果て抵抗を諦めたのか大人しくなった。
サンダーフーフは満足げな笑みを浮かべながら地面にどっかりと胡座をかいて腕に力を込めた。
見覚えのあるトラックが猛スピードでこちらに向かって突っ込んで来るまで、じっくりと腕の中の蜂を愛でていた。

(終)


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