TFADV短編(10月お題) | ナノ


10月27日:共に生きてくれませんか(ADV:鹿と狼と皆と)



忘れていた頃に奴は「絶対サイバトロン星に帰ってやる」と、呪文のように呟く時がある。
それを聞くたびに、スチールジョーは上っ面は苦笑いを浮かべるが内心の寂しさだけは隠しようもなかった。元々はアルケモア号に収監されていた囚人だったのだ。
旧ディセプティコン軍のように大義があって集まった訳では無い、ただ利害が一致したから協力し合っているだけ。
それはサンダーフーフだけではなく他のディセプティコンにも言えることだ。誰も彼もが地球を故郷にして永住するなど本当は信じていないのだろうとスチールジョーは知っている。
特にスチールジョーが支配した地球など、他のディセプティコンが容認できるとは思えない。
オートボットの追跡から逃れ、いつかサイバトロン星に帰還する。
そんなサンダーフーフの目的に沿うディセプティコンの方が多いはずだ。
だから今の仲間達は、兄弟と呼んでいても利用するだけ利用して、無能なディセプティコンはゴミのように捨てる。
それだけの関係だとスチールジョーは嘲笑う。全ては自分がこの地球を支配するために。自分にはそれが出来る能力があるのだと自負している。
訪れる未来に不安はない。
今の兄弟達がいなくなった未来に不安などーーーあってはならない。
そうしなければディセプティコンは生きられないだろう。
腹に溜まっていた憂いを全て吐き出すようにスチールジョーは嘆息した。



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