10月17日:愛情はごまかせない(TFP:マグホイ♀、2人はCEの関係)
「ねぇホイルジャック、奢るから今から飲み会来ない?」
「よっしゃ行く」
ある日、昔の同僚(ウーマンタイプだ)に飲み会に誘われたオレは美味い飯や酒が飲み食いできる!と釣られてホイホイ参加したのだったが。
行ってみればそれは飲み会などてはない、男女数人が集まったいわゆるコンパであったのだ。
しまった。騙し討ちか。
官庁や軍属に勤めているであろう堅気な男女のサイバトロニアンは、突然やって来た大柄なウーマンタイプの俺にギョッとした顔を浮かべた。
そりゃそうだろう。オレだってコンパだと知っていりゃ呑気に参加しなかったさ。
これでもパートナーはいるし。
あいつ、オレがコンパに参加したなんて知ったら烈火の如く怒り狂うだろうなぁ。
堅物な旦那様の裏の顔は異常に嫉妬深いと身を持って知っている。
しかし、そもそもの原因はワザと騙して連れてきた同僚にあるだろう。並んだ他のウーマンタイプを眺めると、なるほど中々の見目麗しいスマートなボディラインだ。
この場合、どう考えてもオレが引き立て役だろうな。
内心納得したオレに悪びれることもない同僚は、張り切ってコンパの開催を宣言してグラスを配り始めた。
オレにだけ個人回線でこっそりと『貴方は適当に飲み食いしてて』と釘を刺すのも忘れずに。
なんともまあ、呆れを通り越して逞しい。
まあいいか。
とにかくタダ酒が飲めるってんなら喜んでそうさせてもらおう。
半ば開き直ったオレは、盛り上がるコンパのメンバーを眺めつつ黙々と飲み食いに集中したのだった。
「………ぅん…?」
なんか気持ちいい…オレ、いつのまに家に帰ってたんだっけ…
寝ぼけたブレインで寝返りをうとうとしたが、機体は何かにガッチリと挟まれたようにビクともしなかった。
と言うより背後からしっかりと抱き締められていた。
この逞しい両腕とオイルの匂いは昔から知っている。
「…マグナス?」
「…起きたのかホーリー」
「あぁ…うん。なぁ、何でオレアンタと一緒に寝てるんだ?」
「覚えてないのか?お前、バーで泥酔して起きないから迎えに来てくれとマスターから私に連絡があったぞ」
「マジか……全然覚えてない…」
「それで連れて帰ったんだがな」
「うっ…!?ちょ、急に力込められると痛っ……わっ!」
突然、視界が180度回転した。
あっという間にマグナスと顔が触れ合うぐらいに抱き寄せられたオレは鋭いオプティックを直視することになり嫌でも機体の油圧が下がる…気がした。
「ま、マグナス…?」
「お前、コンパに参加したらしいな」
「あ、あれは!オレは最初コンパなんて知らなかったんだよ!ただの飲み会って聞いたから…!」
「だが、コンパだったと分かった時点で帰る選択肢もあったはずだ。大方タダ酒が飲めるから付き合ったんだろう」
「ううぅ………」
「そんな無防備な姿をどこかの物好きに襲われたらどうする気だ!」
「は、そんな物好きいるわけないね!」
「目の前にいる!」
「うわああぁ」
怒っている。マグナスは絶対怒っている。
はてこの危機をどう切り抜けるかと思案していた最中に、突然マグナスが覆い被さってきた。あっという間に馬乗りになったかと思うと問答無用で唇を塞がれる。
「んっ!ん、う……!」
噛み付くように荒々しく口内を貪られ、思わず苦しそうに喘ぐがマグナスは止める気配がない。
どころか下肢を這い回る手の動きにゾワリと機体が震えた。
ああ、これから仕置きを受けるのか。
でもまあ悪いのはオレだしなぁ。
たまには乱暴に抱かれるのも悪くない。
観念したオレは抵抗を止め、全てを愛する旦那に委ねることに決めた。
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