TFADV短編(10月お題)


10月6日:いつだって大好きだよ(グリミーとオプとフィク)



「なぁなぁオプティマスー、アンタってバンブルビーのこと嫌いなのかぁ?」

何気なく悪気もないであろうグリムロックの言葉に、オプティマスは作業の手を止めた。
オプティックを見開いて、驚いた顔でグリムロックへ振り返る。
グリムロックは恐竜モードで少し頭を傾げながらじっと返事を待っていた。その姿だけを見れば可愛い忠犬のようでなごむのだが、あえて全員が裂けていた疑問をよりによって、あのグリムロックが!
とてつもない豪速球をオプティマスに投げつけるとは!

「なななな何をいきなり聞いてるんグリムロック!?そんな、プライベートな質問をよりによってプライムに〜!」

一気に冷え切った空気に包まれ始めた現場でいち早く我に返ったフィクシットが、慌ててグリムロックの前に走り出る。
グリムロックはなぜフィクシットがこんなに焦っているのか理解できないと言わんばかりに頭上に疑問符を浮かべた。

「だってよぉ。オプティマスは最近バンブルビーと喧嘩ばっかりしてるじゃねーか。昔はすんごい仲良しだったって聞いたのに違うのかなーって」
「だからって…」
「聞いたとは、誰に?」

淡々としているが、ほんの少し動揺したような含みも入り混ぜた口調でオプティマスは尋ねる。

「そりゃもちろんビーからだ!ビーがいつもオプティマスのことすげぇ司令官だって褒めてたし、早く会いたい会いたいっつってからよっぽど大好きなんだなーって思ってたんだ!」
「そ、そうか……」

顔に手を当ててグリムロックから顔を逸らすオプティマスの口元がニヤけているのをフィクシットは確かに見た。

「なぁ、オプティマスはビーのこと好きか?」
(これまたエラいスーパーストレート球を投げよったー!?)

ニッコニコ顔の恐竜天使は恐れを知らないらしい。
いっそ尊敬すら覚えるフィクシットは、恐る恐る黙りこくったオプティマスを見上げるが…

「もちろん好きだ」

惚れ惚れするほどの爽やかな笑みまで浮かべてハッキリと答えた。

(あ、彼もなかなかのストレート球や…)

それを隊長に言えばいいのになぁと思っていたら、案の定顔を輝かせたグリムロックがしなくてもいいのに「俺、ビーに言ってくる!」と叫んで地響きを立てて走り去ってゆく。
その後ろ姿を顔色を変えたオプティマスが慌てて追い掛けて行くのを、フィクシットは呆然と見送るしかなかった。


(終)


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