TFAラストエンゲージ | ナノ

ラストエンゲージ7(またもや会議)

オートボット評議会。
優秀なオートボットのみが入ることを許される議事堂の一室で、アルファトライオンとウルトラマグナス、そして心労から復活したらしいセンチネルが勢ぞろいしていた。
テーブルを挟んで対面しているのは破壊大帝メガトロンと、両端には彼の部下であるブリッツウイングとブラックアラクニアが控えている。
センチネルはチラリとアラクニアを見た。
アラクニアは腕組みをしたまま微動だにしなかった。仮面に覆われたその顔は一体何を見ているのだろう。少なくとも、自分ではないだろうとセンチネルは分かっている。
しかし彼女がよりによってディセプティコンのNo.2になってしまうとは流石のセンチネルも予想出来なかった。
話したいことは山ほどあるのに、今はそれどころではないのが口惜しい。
モヤモヤするセンチネルを置きざりにしたままメガトロンとウルトラマグナスの話し合いは続けられていた。

「オプティマスプライムを拉致したのはゼータプライムに間違いない」

だから奴を呼び出せ、とウルトラマグナスに要求するメガトロン。
ウルトラマグナスは顔を顰めた。心当たりがあるのだろう。

「我々も彼を怪しいと睨んでいるが、しかし確かな証拠が無くては動けない」
「証拠はオプティマスだ。オプティマスさえ見つかれば揺るぎ無い証拠になる」
「やけに自信があるのだな、メガトロン」
「我が副官であるブラックアラクニアが、ゼータプライムと古い友人だったらしくてな。あやつが犯人ならばゼータプライムが怪しいと言ったのだ。それと、怪しい動きをしている議員も一機いるだろう。名はストラクサスとか言ったか」
「なんと!あのバカはとうとうやりおったのか!?」

仰天するアルファトライオンに、センチネルは呆気に取られた。

「バカってアルファトライオン議員…?」
「いいや、センチネルよ。あんな男はバカで十分なのじゃ。あやつはワシやウルトラマグナスを陥れようと何度も邪魔しくさった腐れ爺ィよ。そうか、ゼータプライムはあやつを師事していたからな。疑うなら間違いないだろう、ウルトラマグナス」
「………あなたも爺では」
「何か言ったか?」
「い、いえ何も」
「…ゼータプライムは今どこにいる?」

アホらしいやり取りに呆れたメガトロンがウルトラマグナスに問う。

「以前から連絡をしているが、応答が無い上に本部に顔を出さないのだ。恐らくは邸宅にいるのではないかと思うが」
「では、もしそこにオプティマスプライムが軟禁されているとしたらどうだ?」
「可能性が無いとは言えぬ。しかしもしあやつらが犯人ならば……ウルトラマグナスよ。ワシが家宅捜索の令状を出す。軟禁されているオプティマスプライムの保護、またゼータプライムを見つけ評議会に出頭させるのだ」
「…しかしまだ彼が犯人とは」
「センチネルよ、ロングアームプライムに命令しゼータプライムの屋敷を捜索させろ。全ての責任はワシが取る」
「りょ、了解!!」

アルファトライオンの命令にセンチネルは敬礼して部屋を後にする。
その時、ガタリとメガトロンが椅子から立ち上がった。

「メガトロン、どこへ行く気だ?」
「ジッとしてはいられぬからな。我も動かせてもらうぞ。何せ我の可愛い新妻が攫われたのだからなぁ?」

ニヤァリと嫌な笑みを浮かべるメガトロンに、ウルトラマグナスはうぐぐと口惜しげに睨んだ。

「ま、まだ婚姻届は受理されていないだろう!?」
「既成事実を知っているか?オプティマスの腹の中には我の子がいるぞ」

だから妻も同然だ、とドヤ顔で言うメガトロンの周囲は凍り付いた。

「…既成事実ってメガトロン様…」
「えっと、うっそ。まさか、そうなのオプティマス…?」

呆然とするブリッツウイングとアラクニアへ振り返ったメガトロンの顔は、大望を果たした男の爽やかな笑顔であった。
そして凍り付いたままのアルファトライオンと、鬼の形相でハンマーを振りかざすウルトラマグナスが背後に迫っているのを見て、部下二機が絶叫した。



センチネルの命令を受けたロングアームは、疑惑のゼータプライムの屋敷へ直ちに家宅捜索に向かった。
その結果、アルファトライオンの読み通り遂に探していたオプティマスプライムを施錠された部屋から発見したのだ。
一見、無傷の状態で彼は眠っているように見えた。恐る恐るブラーが近づき、そっと額に触れる。指に伝わる振動。続いて首筋に触れて内部の循環ケーブルが正しく動いていることを確認して振り返った。

「…大丈夫。彼は生きています」
「ロングアームより本部へ。オプティマスプライムを無事発見、保護しました。これより帰還します。…ええ、念の為パーセプターとラチェットに検査の用意をするように連絡を。さぁブラー、帰りますよ。クリフ、輸送用カプセルの用意を」
「はい!」

敬礼を返して慌ただしく動くクリフとブラーを見ながらロングアームは一旦通信を切った。
そして密かに秘匿回線へアクセスを開始。厳重にプロテクトされているその通信は、敬愛すべき主の元へ送られた。

『ーメガトロン様。オプティマスを発見しました』
『良くやった。検査が済み次第我も会いに向かう。ゼータプライムとストラクサスの行方は分かったか?』
『奴らは今地下に潜伏しているようです。恐れ多くもメガトロン様の暗殺を企んでいたようですが、肝心のアラクニアがまったくアテになりませんでしたからね。我々が駆け付けると知った途端サッサと逃げ出しました。もうこれ以上危ない橋は渡れないと思ったのか、亡命の準備をしているようですが』
『ふん、矮小な奴らめ。己らが何をしたのか身を持って味合わせる必要がある。ショックウェーブ、潜伏先の座標を我に送れ』
『では、この始末は』
『我自ら付けてくれよう。それと…和平反対派に思い知らせるいい機会だ。三度も過ちを繰り返さぬためにはな。情報操作はお前に任せる』
『了解』



ーそしてそれから数日後。
オートボット評議会の古参議員1名と、エリートガード1名が何者かの仕業により瀕死状態で発見されるとのニュースがサイバトロン星に流れたー



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