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「それで真野くん、この子は?彼も生徒会?」
「え、あ、……ああ、府川くんは風紀、……この学校の治安を取り締まる部署の副委員長だよ。もう一人いるんだけど、今日は彼だけなんだ」
「へえ」
「府川くん、」



軽く頷く佐渡に会釈した後、真野は府川に目配せする。それを受けた府川は立ち上がると軽く佐渡に会釈した。



「どうも、西風紀副委員長、府川檀司です。生徒会の役員サンたちと一緒に、臨時でアンタの護衛って事になりました。とりあえずよろしくお願いしますよ」



いつも通りの表情で、しかしどこか呆れたような口調で府川は佐渡を見やる。それに微笑を浮かべながら、佐渡は府川に言った。



「そう。君は府川くんか。……なるほど」
「……」



明るい声で佐渡はにこやかに笑い手を差し出す。それに府川は一瞬眉をしかめたが、すぐにその手を握り返す。それに笑みを浮かべつつ、佐渡は府川に言った。



「風紀、……って、興味あるな。君の他にもう一人いるって言ってたね、その子はどうしたのかな」
「へえ、ご興味がおありで」



府川がそう言うと、佐渡はにこやかに笑った。



「相当ヤンチャなタイプらしいからね、興味はあるよ?……どうやら俺の大事な王様に妙なちょっかいを出してるみたいだからね?……それは君も、みたいだけれど」
「……」



最後だけは府川に聞こえるように囁き、佐渡はにっこり笑う。それを聞き、府川は糸目を一瞬だけ開け、その声が聞こえなかった真野は少し首を傾げる。そしてまた再び笑みを浮かべた佐渡は真野に振り向きながら言った。



「まあ、じゃあ自己紹介もすんだし、そろそろ俺は行くね。職員室に来るように、って言われてるから」
「あ、じゃあ、僕が案内するよ」



佐渡の言葉に、真野は急いで側に駆け寄る。それに軽く礼を言いつつ、佐渡と真野は生徒会室から出て行く。そして二人が出て行った途端、人見はわざとらしく大きなため息をついた。



「はーああ、やっと出てったあ!……おーい、アッキー、あいつ出てったよ、出といでー」
「……」



人見の言葉に、ようやく秋田は阿久津の背から体を起こす。そんな秋田に、阿久津は苦笑しながら声をかけた。



「どうした、志波。いつもより緊張してたみたいだが」
「……」



優しく声をかけるが、秋田は体を強ばらせ答えない。しかしそれは緊張しているというより、どこか戸惑いと恐れを抱いているような表情だった。それにひっかかりを覚えた阿久津は声をかけようとするが、それを人見が遮るように秋田に話しかけてきた。



「いやーしょーがないっしょー、あんな妖怪目の前にしたらさー?オレ近くにいるだけでなんか胃がムカムカしたっつーかモヤモヤしたっつーか?ありゃ絶対、何かウラがある奴だよ!」
「……なんでそう思う」



どこか自分が感じていた違和感を言った人見に、阿久津は少し目を丸くしながら尋ねる。それに人見は肩を竦めながら答えた。



「いやもう、……勘?」
「……はあ?」
「ズバリ会計の勘!……あー、白い目で見ないでよカイチョ、オレだって伊達に人間観察してきてないからね?確固たるケイケンを元に言ってるんだかんね!」
「……あー、わかったわかった」



はあ、とため息をつく阿久津に、人見はムキになって反論する。それに適当に相槌を返しつつ、阿久津は府川の方を見ながら言った。

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