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「……いや、やるよ。あれだけ言ってやっぱりやめた、なんて節操なさすぎる。とにかく、自分が納得するまではやりたい」
「……」
「自分なりに頑張って、自分に合わないとか、能力不足だとか、……そういう理由なら胸を張って辞められると思うけど、今はまだ嫌なんだよ」
「能力不足を理由に胸を張られても困るんだがな」
「あ、う、た、例えだよ、例え!ダメだとしても、後ろ向きじゃなく前向きに、勇退というか、そんな感じで」
「……」



俺がそう言うと、芳野宮は呆れたように肩を竦めた。



「まあ、いい。これ以上君のフラフラした決意を聞いても時間の無駄だろうからな。……わかった、君の庶務就任は何とか皆を説得してやろう」
「え、本当か」
「僕も指名を受けての仮の身分だ、君と変わらない。僕を許して君を許さない、というのは理が通らないだろう。そこを突けば、あまり強くは言えないだろう」
「っ、それじゃあ、」



思わぬ芳野宮の言葉に、俺は思わず目を輝かす。しかし芳野宮は俺をジロリ、と睨み付けた。



「だが、これには条件をつけさせてもらう。正直、僕も君の資質については大いに疑問を抱いている。だから、一学期中に君が生徒会のために何ができるか見極めさせてもらう。そして、役員全員が君の庶務職継続を夏休み前に認める事、それができなければ辞退、――この条件を飲んでもらう」
「……、」
「悪戯に期間を長引かせても何だからな、区切りはつけさせてもらう。もちろん、資質を問われるのは僕も同等だと思っているからな、君も僕の資質を疑うなら遠慮なく弾劾するといい。その間、僕も君も生徒会役員に与えられる特権は一切なしだ。構わないか」
「も、もちろん」
「とりあえず有象無象の動きは抑えてやるが、君に対する悪意の防波堤は最低限だ。外部からきた君を知る生徒はいないからな、庇う者はいないだろう。今の君からは想像がつかないような事態になる可能性もある。それでもいいのか」
「わかってる」



俺は芳野宮に頷いた。



「ちゃんと、頑張る。自分にも、ここの人にも納得してもらえるように」
「……」



改めて決意を込めつつ俺は芳野宮を見、それに芳野宮は少し眉を上げて俺を見、そして一枚の紙をデスクの上の引き出しから取り出した。



「よし。なら、この紙に記入を。庶務役につく届け出だ。他役員とは違い君はイレギュラーだからな。記載は取らせてもらうぞ」
「わ、わかった」



……こうして、俺は芳野宮の差し出した紙にサインをし、……長く波乱万丈な俺の生徒会生活は、こうして幕を開けたのだった。



・END・

嘘から・生徒会入りしてしまった真言と芳野宮の話(if設定)

お待たせして申し訳ありません!このネタに関しては今後の展開に関わるため右往左往してまして、こんな感じに落ち着きました。序章っぽくなりましたがこれだと芳野宮ルートくさいですね(苦笑)

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