C



「……失礼します、一年B組、白河真言です。中に入ってよろしいでしょうか」



震える声で俺は中に声をかける。しかし返る言葉はない。……聞こえなかったのか、と思い俺はもう一度声をかけようとする。……すると、



――ガチャ。



重々しく目の前の扉が開き、



「……」



……そこには、見覚えのある男。生徒会書記、……らしい、芳野宮が立っていた。芳野宮は無表情に俺を見つめ、そしてため息をつきながら俺に言った。



「……なんだ。君、何しに来た」
「っ、今日、生徒会の初会合だって、言ってたから、……とりあえず俺、庶務に当たったから、……」



しどろもどろにそう言うと、芳野宮は大きくため息をついた。



「辞退するんじゃないのか?君には不相応だと思うが」
「そ、それはわかってる。そのつもりで来たんだ、辞退を正式に生徒会に伝えようと思って」
「……、」



俺がそう言うと、芳野宮は目を丸くした。



「そんなもの、親衛隊に伝えればすむだろう。五十川会長は遊びでこんな役を置いたんだ、辞退されるだろう事を念頭に置いてな。もう君の事など頭の隅にもありはしないぞ」
「そ、そうだとしても、直に言わなきゃ、……くじ引きだとしたって、選ばれたのは確かなんだし」
「……」



しどろもどろに俺が言うと、芳野宮はちょっと呆れた顔をしていたが、やがてため息をつくと扉を開いた。



「……どうぞ。ただしもう会合は終わってる。五十川会長の私用でな、今日は打ち合わせだけで終わったんだ」
「え、」
「ま、五十川会長と会計以外はいるからな。挨拶するなら副会長に適当に挨拶していくといい」



事もなげに芳野宮はそう言うが、その一言に俺はズン、と気が重くなる。初の会合なんだから、仮初めにも庶務になった俺を無視して話し合いが始まった、ってことは本当に、こいつら俺の事なんてどうでもいいんだ。……わかってはいたが、改めてその事実を突きつけられるのは結構くる。……と同時に、どんだけ人を馬鹿にしてるんだ、とちょっと苛立ちにも似た感情も湧き上がる。なんか複雑な気分のまま俺が生徒会室に足を踏み入れると、そこにいた副会長、ーー確か飯島さんと言ったーーと、あの喜志多がそこにいた。二人は何やら話し合いをしていたようだが、俺に気がつくとまず喜志多が目を丸くした後、ニコニコしながら近づいてきた。



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