A


「生徒会入りオメデトー!今日からオレと同僚だねぇ、よろー」
「……?」



明るい、のほほんとした声に俺は振り返る。……と、そこには、サラサラの金の髪に、アイドル並みに顔が整ったスタイル抜群の男が立っていた。それに俺が驚いてると、男はニコニコしながら顔を覗きこんできた。



「オレ、喜志多名月!生徒会補佐に指名内定してるんだ!ま、選挙ですぐに会計になる予定だけどぉ、ヨロシクね」
「は、はあ、」
「いやー、君、すごく運いーねぇ!外部生じゃ知らないかもしれないけど、生徒会は全校生徒が羨む存在だからね!そこに運だけで入れるなんてスゴいよ!ま、そうでなかったら君みたいなフツー人、天地がひっくり返ってもあるわけない話だしねぇ」
「……、」
「まーそれでもおんなじ仲間だしさ、仲良くしよーよ!じゃ、ついでにカノカノの紹介もしちゃうか!おーい、カノカノー」



俺が男の、……いや、喜志多のテンションについていけずにいる間にも、喜志多はニコニコしながら誰かに向かい手を振る。すると栗色の髪の、こちらはかなり冷たい感じのする知的な美形が振り向いた。その視線は一瞬喜志多に向けられた後、俺に向けられ、――その絶対零度的な冷たい視線に俺がたじろいでると、そいつは冷たく吐き捨てた。



「……辞退した方がいいんじゃないのか、君」
「……え、」
「覚悟もなく、鬼の住処に入るほど無謀な事はないぞ。今なら間に合う、辞退しろ」
「……、」



ジロリ、と俺を睨み付けながらそいつはそう言った。その眼光にたじろぎつつも、何かあからさまにバカにされた気がして俺はそいつに言った。



「い、いや、運だろうが何だろうが、一回任命されたんだからやってみないと、……庶務って、要するに生徒会の雑用だろ?それくらいなら何とかなるだろ」
「……」



中学時代の生徒会活動なんか覚えはないけど、大した事はしてないはずだ。特に庶務って言ったら雑用だろう、それくらいなら俺だってできるはずだ。そう思い俺がそう強がると、そいつは無言で俺を一瞥した後、興味をなくしたように顔を伏せた。



「……そうか。まあ、ならせいぜい頑張るといい。だが、辞退は早ければ早いほどいいぞ」



それだけ言い、そいつはツカツカと立ち去る。俺がそれに呆気に取られてると、横にいた喜志多が俺の肩をポンポン、と叩いた。



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