案外相思相愛なんです(*´∇`)キャッ

幼馴染みが熱を出した。
だから何だと言われたらきっぱり一言、上気したホッペに俺の股間も蒸気を上げてしまう。


「はぁ、はぁ…うぅ」

いかん。
いかんぞ達哉、静まれ静まるんだジョー!いや、マイサン。

お前は慎み深い良い子だった筈だ。
幾ら愛する裕太が赤いホッペで怪しい息遣いをしつつ潤んだ目で見上げてきたとしても、それはイケナイ誘惑なんかじゃなく単に熱の所為で苦しんでるだけなんだ。
そう、苦しんでるんだ。静まれ静まるんだ鎮まって下さいレッツ鎮静化だマイサン、病人に襲い掛かるほど餓えさせちゃいない。

昨日も裕太をオカズに三発自家発電しただろ!このゴールドフィンガーで!


「アアアクエリ、飲めっ!」
「はぁ、タ、ツヤ、…移る」

頼りない目で俺を見るな!
やめてっ、そんなの拷問じゃない!いやっ、俺達はそんなSMプレイなんかしなくてもラブラブなんだから!
まぁ、主に俺の妄想世界だけの話だが。悔しくなんかないやい!

「大丈夫だって。つか俺のが移ったんだろ?俺の風邪なら免疫あっから、気にすんな」
「くそ…っ、来週は検定があるのに…はぁはぁ」
「こら、だからこそたっぷり寝ろ」

起き上がって机に向かおうとする肩を布団に押し戻す。六畳間に机とタンスと小さな押し入れ、後は目覚まし時計くらいしかない部屋は何だか物寂しい。
昔からバリバリ働いてたおばさんは役職があるみたいで、出張残業当たり前のキャリアウーマンだ。高卒なのにそこまで頑張ったのを知ってるから、昔から幼馴染みは母親に我儘を言わない。

今日だってそうだ。
朝からキツかった癖に、日曜出勤のおばさんの弁当作って送り出して、マーヤ(俺の馬鹿妹)の勉強見にバイト来るし。
まぁ、一目で裕太の体調に気付いた俺が担いで連れて帰ったんだけどな。暴れ回ってた裕太がぐったりしてきた時はマジで慌てた。ぐったりした表情にときめいたのは秘密だ。

これも愛の所為。


「タツヤ、時間…」
「あ?」
「バンドの…練習、行けよ…」
「行くかよ。休むっつったし」
「ばっ、お前こそ来週また何かやるって言ってただろ!」

もう、だから大好き。
その話した時はテキスト睨みながら無視してた癖に、ちゃんと聞いてるんだから。一回もライブ来てくれないけど。
ま、裕太が俺を愛しちゃってる事は気付いてますし?そこそこ経験してますからね、一応。俺めちゃめちゃモテるしさぁ。あ、これマジだから。自画自賛じゃないから。事実だから。
無理矢理認めさせても楽しくないからよ、本人が認めるまで言わないけどな。


「ユータより大事なモンなんかねぇの」
「ばっ!」

やっぱ恋愛は対等じゃねぇと。みたいな?
一方通行とか片方だけベタ惚れとか、馬鹿馬鹿しいじゃん。

「はは、ユータ真っ赤」
「黙れ!これは熱が上がっ、」
「はいはい、お休みのチューしたげるから寝なさい」
「黙れ黙れ!このセクハラ男っ!」
「ほらほら、叫ぶときつくなんだろ。ただでさえ壁薄いんだから、近所迷惑だし」
「う…」

渋々力を抜いた裕太の肩から手を離して、ずり落ちたタオルを氷いっぱいの洗面器に浸した。
ぎゅっと絞ってまず吹き出した汗を拭ってやって、もう一回浸して絞ったタオルを額に乗せてやる。気持ち良さそうに目を閉じた幼馴染みの裸眼に息を呑みながら、やや前屈みな状況にトイレ直行しようとした俺の腕を熱い手が掴んだ。

「帰る…のか…?」
「トイレだって」
「ほん、と、に?」
「あのなぁ、」
「女の子のと…こ、行かない?」

ほらね。
俺の事ちょう愛しちゃってる癖にさ、酔ってる時とかこんな時にしか表に出さないツンデレっ子め。


「…行かねぇよ、馬ぁ鹿」


くそ、すまんマイサン。
お前の荒らぶる叫びをちょっとだけ無視させて貰います。後でめちゃめちゃ可愛がってやるからな、ゴールドフィンガーで。


ほっとした様に目を閉じた幼馴染みの健やかな寝息を聞きながら、離れない熱い手を振り解かずに添い寝した。
今だけ、何か中学生チックな甘酸っぱい雰囲気も良いだろう。





「あらまぁ、達哉ちゃん」


凄まじく嬉しそうな声に目を開ければ、寿司折りを片手にしたおばちゃんが酔っ払った顔でニヤニヤしていた。
お帰りなさい、と寝惚け眼を擦りつつ起き上がった俺が、つつつと指を差したおばちゃんにつられて下を見やり、


「やっぱ若い子は元気が良いわねぇ!ほっほっほっ」
「…いやん!」

ジーンズを健気に押し上げる荒らぶるマイサンに気付いて、すやすや眠る幼馴染みの布団の中に潜り込んだのは言うまでもない。
因みに幼馴染みのパジャマから覗く臍を見てしまい、それだけでイっちまった情けなさに声もなく泣いたのも仕方ない…。


「うっうっ」
「あたしが後十歳若かったらねぇ!ほーっほっほっほっ」

酔っ払いの高らかな笑い声に、壁がコンコン叩かれた様な気がした。
アパートの薄い壁万歳。



因みに翌朝すっかり熱が下がった裕太から蹴り起こされた俺が、家に走り帰ってボクサーパンツを洗ったのは言うまでもない。
また妹に見られて有る事無い事吹聴されるのは時間の問題だろう。



「はぁ、我が兄ながらつくづく情けない男。ヘタレ攻めなんてマイナーだからやめてよね、マジ」
「ヘタレ言うな!」
「ヘタレの癖にヘタレ拒絶すんなこのヘタレが、今度の新刊で輪姦させられたいのかヘタレお兄」



…挫けないもんね!ぐすっ。


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