(ごろつきビオトープ)
悟郎、初彼女が出来ました。
(それは12歳の春)

「わぁ、此処が悟郎君のお家?」
「お、おう。(今日が週末で良かった…本宅[米国]見られたら死ねる)俺の部屋、あっちだから…」
「えへへ、お邪魔します」
「あン?悟郎じゃん、それ彼女?初めまして子猫ちゃん、兄の次郎だよ。チュ」
「「!」」

#次男がまさかのホストモードだった



悟郎、彼女が出来ました。
(初彼女は次郎に惚れた)

「悟郎君のお部屋、思ったより片付いてるね〜。もっと散らかってるイメージだった〜」
「まぁな。(良し、普通の中学生っぽい部屋に見えてるみたいだな。テレビで綺麗好きはモテないっつってたし…。わざわざちょっと散らかしといて良かった)」
「ここ座っても良い?」
「おう。(…っし、ジロはコミケに行ってる。良し、今日こそ!キ、キッスするまで…頑張るんだ俺っ)」
「ね、アルバムとか、」
「帰ってるかなゴロー、お腹空いた。…ん?濡れた瞳の愛くるしいお嬢さん、こんにちは」
「「!」」

#長男お前もか


悟郎、モデルの彼女が出来ました。
(芸能界デビュー後)

「…シャワー借りても?」
「ああ。(マジかァア遂に童貞と別れの時…!今日こそ兄貴共は居ねぇ!)」
「ねぇ、…一緒に入らない?」
「(ちょ、マジ、マジ、で?!早くない?!もうその流れっスか?!うっそ!)」
「居るか俊、メリットの詰め替えがない」
「「!」」
「む。部屋を間違えたらしい」
「ちょ、今の物凄い美形、誰っ?!」

#何故風呂上がりなんだ父上


悟郎、愚痴る。

「うっうっ、この世のイケ男なんか消え去ればイイ…!畜生っ」
「あは。大変だったねえ。お前も十分イケてんだけど…ヒロと神様は論外っつーかねえ」
「隼人兄!どうしたら童貞捨てられんの?!俺、部屋でまったり夜明けのコーラ飲むのが夢なんだ!」

#んー自宅から出ない限り無理だねえ


悟郎、一人暮らし初めました。
(彼女も出来ました)

「良いマンションじゃん」
「呼ぶのはお前が初めてだ。(今度こそ、隼人兄のマニュアル通りにやれば…)」
「嬉しいけど、誰にでも言ってたりして、」
「お帰り悟郎、…ん?何だ、素敵な彼女と一緒ならお邪魔虫だったか?」

#掃除に来てた母の笑顔は息子の俺にさえ眩し過ぎました


悟郎、悟る。
(それは15の晩秋)

「俺は一生童貞なんだ…ぐすっ」
「面映ゆい」
「ゴロー、大丈夫だ。俺も童貞だけれど、二日に一度は処理し、」
「「ヒロちゃん黙れ」」
「兄上…っ。ハァハァ。ゴローは一生童貞に決まってんだろ(受けなんだし)」
「大丈夫よ悟郎ちゃん、彼氏を作れば解決ょ!ハァハァ!ママ眼鏡の底から期待してるから…!」
「面映ゆい」

#家出するしかない
#然し家出しても家族がぞろぞろついてくる
#もう涙も出ません



#兄を越えて征け

「次郎兄!」
「…」
「俺と勝負しろ兄貴!」
「…」
「シカトすんなっ、…くそ……………兄たん」
「80点」
「テメ!」
「はァ。ゴロ、お前は剥けてない兄に暴力を奮うつもりか。いつからそんな小さい男になった?もう宿題教えてやらないぞ、留年するのか?留年して年下同級生の慰みものになるのか?ハァハァ、それなら心の底から応援するぞ、ハァハァ」
「…ごめんなさい」


#兄を越えて征け

「ヒロ兄!俺と勝負しろ!」
「ん、何の勝負?」
「拳と拳の勝負だ」
「困ったな、俺は暴力は苦手なんだよ、悟郎」
「逃げる気かよ!」
「でも俺は今お腹が空いてて…」
「もう兄貴には、かにたま作ってやんねーぞ!」
「それは困ったな、

 ………なればその命を以て卿に与えた言葉の意味を思い知るが良かろう、下等生物が」


#父を越えて征け

「う、うう、判ってたとは言え…非力なジロにも普段は優しいヒロ兄にも勝てる気がしない。やっぱり兄貴より先に親父を倒そう…殺されるかと…ゲフ。親父こんにゃろー!俺と勝負しろォ!この白髪じじい!」
「面映ゆい」
「俺が勝ったら二度と俺の部屋に入んな!………って、母ちゃんに言ってくんない?ベッドの下に盗聴器仕込むのはやめてって」
「面映ゆい」


#母は越えられそうにない

「か、母ちゃん」
「なァに?今夜は豚カツ風味の鶏の唐揚げとお味噌汁風味の鶏の唐揚げとカレーと明太子おむすびょ」
「カレーは普通のご飯にして…じゃなくて!俺の鞄にまた変な漫画入れただろ!友達から笑われ、」
「愚か者が!変な漫画じゃない、BL漫画と言え!!!」


#色々越えられなかった日の夜食

「親父はコンソメポテチ、母ちゃんは普通の唐揚げ、ヒロ兄は本物の蟹じゃなくて安いカニカマ入りの蟹玉、ジロ兄は街で見掛けたホモ写真、姉ちゃんは学校で俺が一番イケメンだと思う奴のプロフと写メ…残さず喰えよ!」
「「「「「いただきま。」」」」」
「面映ゆい」


#聞いた相手が悪かった

「なァ親父。…彼女ってどうやったら出来んの?」
「ふむ、下らん事を。世の淑女であれば目が合えば身を委ねて来よう。気が乗らねばそもそも目を合わせねば良いだけ、考える必要などない。然し相手が腐女子ならば話は別だ、そなたなど瞬時に喰われる」
「腐女子こえー!」


#やっぱり聞いた相手が悪かった

「兄貴、彼女ってどうやったら出来んの?」
「すまない悟郎、自信を持って言えるとすれば俺は平凡で地味で右の靴下が見つからない一介の童貞だから、そう言う話は女性に好まれそうな容姿の人に聞いてくれないか」
「俺、兄貴よりモテそうな奴あんま知らないんだけど」


#どこまでも聞いた相手が悪かった

「隼人兄ちゃん、彼女ってどうやったら出来んの?」
「彼女お?へー、マセてるねえ」
「教えてくれよ!兄貴も親父も教えてくんねーの!」
「んー、何てゆーか、実は彼女は一回も居ないんだよねえ…」
「隼人兄ちゃん、童貞なの?!」
「あは。まっさかー」
「え?」


#とめどなく聞いた相手が悪かった

「…イチ叔父さん、ぐすっ」
「あん?どうした悟郎、また総長に叱られたのか?」
「イチ先生…っ、俺、彼女が欲しいです…!」
「何か良く判らんが…諦めたらそこで試合終了だぜ?」
「先生ぇ…!」
「良いか、まずは鍛えろ!女は筋肉に弱い!」
「師匠ォオオオ!」


#最後の最後にモテる男を見逃してた

「ひっく」
「おい、いい加減泣き止め」
「うっうっ、でも日向叔父さん!筋トレ中に折角師匠が口説き文句を教えてくれてるのに、俺が馬鹿だから!舜叔父さんよりマシだって、俺如きが高を括ってたんだ!…イタリア語もスペイン語もドイツ語も極めつけに関西弁も東北弁もわかんねー、お手上げなんス!ぐす」
「まぁ、アレに悪気はねぇんだが…別にお前が馬鹿な訳じゃない、そこまで気にすんな。俺様も東北訛りは判らん」
「うわーん!!!」

#優しく抱き締めて背中を叩いてくれた高坂の叔父さんはイケメンだった


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