メインアーカイブ

最終更新2021/10/15(詳細はUPDATE)

ビーストライクインパルス

嫌いじゃない。
そんな相手に抱かれる事がこんなにも苦痛なのだと、初めて知った。


「う…あっあ…!」

揺さぶられながら、切羽詰まった声で繰り返し愛の言葉を唱える男を、歪んだ視界に捉える。



「く、るし…!」
「っ、す、げ…気持ち、い…!」

顔を合わせれば喧嘩ばかり。

時には本気で殴り合った事もあっただろうか。



けれど嫌いではなかった。

それは多分、お互いが、そう。



「っ、あ!はっ、ひ…ぁっ」
「好きだ…!好きだ!好きだ!っ、愛してる…!」
「や、ぁ!」

こんなに押し殺した声は初めて聞いた。いつもはわざとらしいほど冷静な男が、余裕の欠片もないなんて。

「あっあっあ、んぅ、…ひン!」

それを笑える余裕は残念ながら持ち合わせていない。
喉からひっきりなしに漏れる甲高い喘ぎが、他の誰でもなく自分のものだと思うと、今にも死にたくなるほど恥ずかしかった。




なのに、やめようとしない獣は二匹。


理性の欠片も残していない、それこそ獣の様に熱を燃やしている。



「あ、うぁ!…ひゃっ、ゃ、も…もっと、奥…!」


嫌いじゃない。
そんな相手から求められる事が、こんなにも苦痛だなんて。


知っていたら、何か変わっていたのだろうか。




「っ、幾らでも叶えてやるから…!好きだって、言ってくれ…っ」
「んっ、あああ…っ!すきぃ、好きだからぁ…!」


嫌いじゃない。
つまりは単純に、溢れるほどの愛しさが全身を支配し渦を巻き、喉を突き破りそうだ。





溢れ続ければ良い。とめどなく果てまで。






「も、めちゃくちゃに、して…っ」


それこそ、理性の欠片も残さない動物的な衝動。

- ビーストライクインパルス -
*めいん#
[39/54]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -