死に逝く者の系譜
昼メロ的泥沼を書いてみよう計画(行き当たりばったり言うの禁止)
短期集中連載の為、前置き。
苛めを題材に痛々しい表現がちょこちょこっと出てきます。
ハッピーエンドかそうでないかは皆さんにお任せしますからねっ。←
・登場人物・読まなくても困らない
多岐楓(たきかえで)
何の取り柄もない苛められっ子。
元々目立たず友達も少なかったものの、2年に進級し光輝と知り合ってから壮絶な苛めを受ける。
口数は少ない方だったが、苛め以降全く喋らなくなった。
瀬戸光輝(せとこうき)
お金持ちで美形なクラスの人気者。
クラス替えで楓と知り合ってから、クラス全員を従えて楓を苛める。派手な見た目にチャラい服装、成績は優秀。
「何へらへら笑ってんの、お前?」
結論から言おう。
俺は憎んでいたあの男を倒した英雄だ。死んでしまいたいとさえ悩んだ何の取り柄もない極々平凡な俺に、あの恵まれた男は殺されたのだ。
高笑いしてやりたい気分だった。
怒りからか勝利の武者震いかは判らないけれど震える拳、目の前には死んでしまった憎き敵。
「…さようなら、瀬戸」
結論から言おう。
俺は憎んでいたあの何も彼もから恵まれた男を、瀬戸光輝を、文字通りこの世から消したのだ。
「ねぇ、俺の事が好き?」
いつか浴びせられた同じ台詞で。
俺はあの何も彼もから恵まれた、それでいて酷く寂しげな目をしていた男を前に笑った。きっと世界中で今の俺が一番輝いている事だろう。
「─────は、」
見よ世界中の人間共!
勝ったんだ!何の取り柄もない俺が、勝ったんだ!
「ははは、はははははっ」
今なら心臓を抉られても構わない!今すぐ地球から消滅しても構わない!
どうせ死ぬつもりで賭けたんだ!どうせ生きる理由なんか存在しない!
だって俺が勝ったんだ!
「は、ははは。…殺される前に死んでしまえば良かったのに」
これは何の取り柄もない苛められっ子と、何も彼もから恵まれた苛めっ子の長い様で短い一ヶ月を記した物語である。
勝者は、─────俺だ。
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