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最終更新2021/10/15(詳細はUPDATE)

そして僕は愛に飢える

別に一日中拘束したいと言うのではない。
確かに人間と言う愚かな生き物故に些細とは言えぬだけの期待はするが、叶わなくとも困らないからだ。

「なぁ、今日は暇か?」
「俺、他の奴と課外受ける約束してんだ」
「そうか、判った」

例えば何故話しかけると笑みを控えるのだ、とか。
例えば何故いつも自分以外の人間を優先するのだ、とか。
例えば素直に承諾する俺を見て安堵の吐息を漏らすのは何故だ、とか。
例えば愛していると言うと困った様に目を伏せるのは何故だ、とか。


嫌なら振り払えば良い。邪魔なら消えろと命じれば良い。
いつもいつもいつもいつも、考えていて。自分でも救い様が無いと呆れているんだ。けれど、

貴方は何も言わない。拒絶も排除も、睦言も。
(俺とは一緒に居たくない癖に)
貴方は何も言わせない。何故も我侭も、ただ一言も。
(愛していると何度口にしても足りないのに)

玉砕決定の想いだったから。秘めたまま居ようと悲壮な覚悟までしたのに。
人の中へ土足で入り込んでくる貴方は、こんなに脆弱な魂にさせた張本人であるのに。


「………」


俺ではない別の誰かの元へ駆けて行くのだ、いつも、今も尚。
微笑みを振りまきながら(「友人」とは都合の良い台詞)
俺に背を向け続ける(なら初めから恋人よりも友人のままで)



「………ねぇ…」

(皆に分け隔てなく向けられる微笑みすら、もうずっと見ていない)
(他人の好意は素直に喜ぶ癖に、俺の言葉は迷惑なのか)
(嫌われたくないんだ)

「………見捨てられたくないんだ…」

(こんなに愛しているのに)
(今直ぐその背を無理矢理抱き締めてしまいたいのに)
(嫌われたくないんだ)
(拒絶されたならと考えると息も出来なくなって)
(消えろと言われればきっと素直に従ってしまう)


一日24時間一緒に居たい、本当は。
一日24時間愛していると伝えたい、本当は。
けれど実際は、去り行く背を見送る事しか出来ない。
けれど実際は、口を開く度に貴方が悲しい目をするから。


「優しい、人」

(振り払う事が出来ないから)

「優しくて、残酷な、人」


勘違いしてしまったんだ、惨めに(愛されていると)
勘違いさせたんだ、お前が(愛して貰えるのだと)
どうして今更突き放す態度を取るんだ(こんなにさせておいて)
どうして今、突き放してくれないんだ(こんなになる前に、あの日に)



泣きたいよ、愛してくれとお前の前で。
だけど出来ない、見放されたら生きていけないんだ。

喚きたいんだ、全ての奴に、この不安全て。
俺から奪わないでくれ、それしか欲しくないんだ、俺には彼しか居ないんだって、喚き散らしたいんだ、なのに。


理性は貴方に拒絶される事を恐れ、優等生を演じる。
本能は何も彼も棄てて灰になれと嘲笑い続ける。




全て貴方に飢えている所為。
(………どうせなら餓死してしまおうか…)






僕は矛盾の産物だ。

  PCサイトのものを改編。愛に臆病攻め×恋に臆病受け。

- そして僕は愛に飢える -
*めいん#
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