笠松幸男
「笠松先生!遥ちゃんが怪我しちゃって」
体育の授業中、女子生徒に呼ばれる。
今日は女子担当の教師が不在のため合同授業だ。
「立てるか、栗宮」
『はい…っ』
肩を貸していたが
どうやら足を痛めたようだ。
「保健室に連れてくから、お前らは続けてろ」
高校生とは思えない位の軽さの彼女を抱え、保健室に向かう。
「不在か…ちょっと待ってろ」
椅子に座らせ、処置をし始める。
『先生、私もうすぐ卒業でしょ。そしたら…ご飯連れてってくれますか?』
突然の言葉に手を止めるが
またすぐに続ける。
「卒業したらな…」
出来たぞ。もう少し休んどけ。と
頭を一撫でして片付けをする。
正直驚いてる。
栗宮がそういう素振りをしたことはない。
真面目で、大人しい性格だから。
シュンとしたような栗宮に小指を出す。
「約束、な」
『…はい』
嬉しそうに小指を絡ませてきた栗宮はもう、大人の女性のように美しかった。
END next→笠松先輩(駅員Ver.)
長編 秘めた想い 連載中です!
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