=第一の寵姫(4)= 「…ンッ…ぁ、あぁッ…んっ、はぁ…あ、」 王の視線の先―ぬかるんだ**の蜜壺は先ほどの口淫も手伝ってか、こんこんと愛液を湧き上がらせた。 手首を拘束していたはずの絹布はすっかり解け、月明かりを浴びて厭らしく光る両の手は、掴んだ快感を逃がさぬよう必死に動き続ける。そして大きく開脚した白い脚は、時折大袈裟なくらいにビクッ、ビクンと跳ねていた。 左手でぷっくり膨れた突起を捏ね回しながら、物足りなさを補うように激しく出し入れを続ける右指は二本。ぐちゅぐちゅとナカを掻き混ぜる**の息はすっかり上がり、形よい眉は何かを耐え忍ぶように歪んでいる。 「あぁ、っん…あッ、はあぁああっん!」 「カトレア」 「っんぁ…っ、…は、いッ…」 「自分で慰めて善がって、本当に恥ずかしい女だなお前は」 「やっ、…ぁ、ああッ…ちが…!」 ふるふると頭を振る**の頬は熟れた林檎のように真っ赤で、潤んだ瞳を切なげに王へと向けた。しかしその無意味な否定の間にも、両手は休むことなく快楽を貪り続ける。昼間侍女が整えていったベッドのシーツはすっかり皺だらけで、**が垂れ流す愛液のせいでぐっしょりと濡れていた。 「何が違うんだ。そんなに濡らして、気持ちいいんだろう?」 「やぁああっ、あッ…んっ、ぁあああっ!」 王から蔑みの言葉と視線を浴びせかけられるたび、**は彼女自身のはしたない内襞が咥えた指を深く招き入れようとして、きゅうきゅう締まるのを確かに感じていた。 そうして見え始めた絶頂の白い光を掴もうと、**が指の動きを速めた瞬間―、 「気をやるには、まだ早い」 「…っ、あッ」 王から許されたひとり遊びの時間は、無情にも打ち切られた。 しかし、そのまま仰向けに寝転んだ王の躰を後ろ向きに跨ぐ形を取らされれば、心得たように硬く勃ち上がった肉棒を口に含む**。 頬を窄ませじゅぶじゅぶと卑猥な音を立てながら、膨れ上がったソレに愛撫を施す。部屋を満たすのは、厭らしく響く水音と熱い吐息。 「ふっ、んむ…ッ!あぁああっ!やぁあ、あっ!」 不意にじゅるじゅると啜り上げるような音が交じり、くぐもった吐息を漏らす**の口から、悲鳴に近い甲高い嬌声が上がった。 突き出した白く丸い尻の間、蜜を滴らせながらひくひくと蠢くソコを尖った舌が執拗に這う。時折吸い上げるように唇が寄せられ、熱心に動かしていたはずの**の口と手が何度も止まった。 王から与えられる甘い痺れに震えながら、仰け反った**の視線の先には―四角い窓から覗く、丸い月。 射し込む淡い月光が薄暗い部屋を照らす。素晴らしい刺繍の施された絨毯も、繊細な彫刻が縁取る大きな鏡も、肌触りのいい上質で滑らかなシーツも、すべてがもう何年も前から目にしてきた、見慣れたはずの光景だというのに。この場所で、数え切れぬほど愛されてきたというのに。 ――今も昔も、その何処にも**の居場所はなかった。 この部屋に染みつく香りは、哀しい。数年前まで、いつ訪れても漂っていた甘ったるい匂いは、もうすっかり消えてしまった。匂いなんてもう無いはずなのに、それでも真っ白なハンカチに落ちたシミがずっと消えず残るように、哀しい色だけがただ此処には残っているのだ。 嫌いだったはずの匂いに取って代わるようにして、たくさんの鼻をつく香りが入れ代わり立ち代わり、この寂しい部屋を日々満たしていく。そんな吐き気を催すほどの嫌悪感の真っ只中に、**は自らの身をも投じる。 王が望むのであれば、この身をいくらでも捧げよう。王が求めるのであれば、この喉が嗄れ果てるまで甘い声で鳴き続けよう。そうして冷たく閉ざされた扉をいつか解かして開くことが出来たなら…と、夢見ることを諦められずにいるのだった。 「…考えごとか?随分と余裕だな」 「っひゃぁあッ、あっ…ん!」 「余計なことを考えてる暇があったら、腰でも振ってろ」 「んぁッ、ああ…っは、い…!」 よれたシーツの波間に顔を埋め、自ら尻を揺らして埋め込まれた昂りに応える**。その細腰を掴んだまま後ろからガツガツと腰を打ちつける王の動きに合わせ、肉のぶつかる音と喘ぎ声が絶え間なく続いた。 |