なんのおと



トントントン

と。音がしたのだ。

それはまさに僕が出入り口横のドアを開けようとした時でした。開けようとしたドアの存在すら忘れて、出入り口の観音開きの扉を見つめる。


トントントン

何かが背筋を這いずりまわっているかのような嫌悪感。僕の様子に気づいた他の人たちも漸くこの異様な音に気づいたのだ。

思わず一歩、

鉛のように重くなった足を動かして後退する。


「誰かそこにいるのか」

緑間くんが扉の向こう側に声を掛ける。


ガチャガチャ、ガチャガチャ

とドアノブを回す音が。


「ひっ!」

後ろの方から黄瀬くんの息を呑む音が鮮明に聴こえた。いえ、正確に黄瀬くんだけではなく、この場にいる全員の緊迫した息をのむ様子が雰囲気で伝わってくる。返事のない向こう側ではどうにかしてこの扉を開けようとしているのがわかる。

いや、まて。

僕らは閉じ込められたと思って扉の鍵の有無なんて確認なんてしていない。

そもそも本当に僕らは閉じ込められたのか?
もしかしたら、鍵は、元から、


なんて、恐ろしい考えが脳裏をよぎる。


すぐ脇で机とパイプ椅子の山を崩していた人はいない。この扉の叩く音が聴こえて直ぐに後方に退避したのだ。



ああそうか、いま、1番扉に近いのは


ガチ、


「テツ!」
「黒子!」
「黒子っち!」















































この、僕だ。



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