そうなるんだよ
「俺の幼馴染みに何してくれとんじゃキサマあぁああああぁあ!!!!!!!!!!」
スパーン!!!
炯至モドキが油断して黒子の首元のナイフを少し浮かした、ほんの僅かな隙に気味良くキマる飛び蹴り。本人的にはジャンピングニーバットでも良さそうだな、なんて考えて可笑しくなる。
耳元の無線がキマッターwwなんて草つけて笑ってやがる。おま、この状況わかってねぇだろ、なんてブツクサと文句も出てくるものだ。
「ちゃむ、後、よろしく」
地を這うような聴いたことないひっくい声で炯至は俺に黒子を託す。背中に担いだショットガンよりもオメェの素手を慣らしてる姿のが怖いなんて、どういう恐怖だバカ野郎。
なんてそんなことが言える筈もなく炯至モドキと離した時に飛ばされた黒子を起こすべく、はいはい、と返事して己の色違いを喜々としてボコすべく追った炯至を見送る。
奥の暗闇でぎゃぁあああ!とか。
そんなん聴こえない。
解放されて床に座り込んで放心状態の黒子を正気に戻す為、しゃあないなぁと、同じ様に屈んで目線を合わせてぺちぺちと頬を叩く。
「おーい、黒子ー?大丈夫かー」
「えっ、は?ちゃむ、・・・くん?」
よしよし、焦点があった。
何がどうなったのかいまいち混乱してわからない様で最初から説明しなければならないようだ。とりあえず炯至が戻って来てからでいいかな。
耳元は耳元で、は?黒子?
とクエスチョンマークが飛んでいる事から察するにこっちもこっちでよく解っていないようだ。
炯至もまだ戻って来る気配もないし、こっちを先に済ませるとしよう。
「とべちゃん、監視カメラ5秒前。…ついた?」
【おっけ。・・・ああ、いまついた。
え、黒子いんの?なんで?】
「あはー、なんでかなー?」
周りを警戒しながら後ろを見るとあらまぁ、びっくり。中学の時に見たカラフル頭やなんやかんやとが勢揃い。向こうも向こうでびっくりしているらしく、固まっている。
うわぁ、ほっとんど見たことねぇ顔!
おお、あの何様俺様赤司様まで固まってらっしゃるぜ。なんというレア感。
というか、炯至のヤツまだヤってんのか。あの炯至モドキの悲鳴なのかなんなのか。が、うざいったらない。まあ黒子に手ぇ出したのが運の尽きとやらで、しょうがないといえばしょうがないとしか言い様がない。
「おまえ・・・」
おっと、炯至が戻るより先にこっちが正気に戻りやがった。
「おー、火神お久ー!まぁ色々聞きたいこととかあるだろうけど、とりあえず黒子よろしく!」
黒子経由で仲良くなった火神に、黒子を頼む。いや、別に中学の同級であるキセキの世代(笑)でもよかったんだけど、顔見知り程度の人間よりも自分が知ってる奴に預けるのが妥当だろう。
ああ、これから面倒だなぁ、
そう考えながら、数人の探る様な目を擦り抜けて、バケモノと殺り合っている炯至を迎えに行く。
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