どうなってんの


「俺の幼馴染みに何してくれとんじゃキサマあぁああああぁあ!!!!!!!!!!」

スパーン!!!

とソイツは確かにじゃあね、なんて言って黒子っちを連れて行ったはず、な扉から白い残像と共に掻き消えるように黒子っちだけを残して飛んでいった。



飛んでいった?
飛んでいった?!


『はっ?!』

なんて言って隣にいた火神っちと青峰っちに確かめる。2人とも、というか、この場にいた全員がきょとんと呆けている。あ、赤司っちがびっくりしてる。

・・・何が起こった!

白神っち擬きが掻き消えた廊下からはバタバタと恐らく人が走って行く音。と、話し声。

暫くすると見たことある人物が黒子っちに近づく。黒子っちも何が起こったのか解らないようで、目を白黒させていた。

だって俺らもワケわかんない!

何処かで見たことあるソイツは、残された黒子っちに近づくと声を掛ける。が、混乱しているのか黒子っちは返事をしない。

ソイツは床に座り込んでいる黒子っちと目線を合わせるように屈むと、しゃあないなぁと呟いてぺちぺちと頬を叩いた。


「おーい、黒子ー?大丈夫かー」

「えっ、は?ちゃむ、・・・くん?」

正気が戻ったらしい黒子っちは、頬を叩くソイツを『ちゃむ』と呼んだ。俺の記憶が正しければ、その名前は中学時代、黒子っちや白神っちが親しかった奴の名前だ。

バスケ部以外にあまり興味はなかったから、うろ覚えだけれど。

笠松先輩がおい、とソイツに声を掛けようとした時だった。


廊下の奥。

ひたすら黒の世界が続いている先で、ぎゃあぁああ!!!と人間のモノとは思えないほどの叫び声が聴こえた。もしかして先の程の白神っち擬きの声なのだろうか。でも、人間とは思えないアイツがそう易々と殺られるのか?じゃあ、アイツが殺られるアイツ以上の何かバケモノがいる?!

そう考えるとあの白神っち擬きが黒子っちを置いていった?なのか?まぁ、その理由も、何となく想像がつくが、今度はぞわぞわと寒気がしたかと思うと、背筋からつぅ、と冷や汗が流れた。


何かを知っていそうなソイツには、手が出せない。黒子っちを、大切な友人を、また人質にでもされたらと思うと、どうにも動けなかった。



「とべちゃん、監視カメラ5秒前。…ついた?」

と、耳元についたBluetoothか、無線かを押し当てて何処か外部にいる仲間に連絡をとった。

今コイツは監視カメラと言った?

それは俺らを見張るためのものだろうか。
いや、それなら何の為に?
もうコイツらが誘拐犯だとしたら顔は見られているし、素性も名前も知っている。今更監視カメラなんて可笑しくないだろうか。



【おっけ。・・・ああ、いまついた。
え、黒子いんの?なんで?】

「あはー、なんでかなー?」

幸か不幸か定かではないが、どこに仕掛けてあるのかは知らない監視カメラは、黒子っちだけ姿が見える位置らしい。
困った様に溜め息を吐いて、『ちゃむ』はこちらをみる。

中学時代に黒子っちや白神っちが関わっていた友人だとしても、俺らバスケ部とはほぼ無縁な奴だ。多少知っていても、ソイツの人と成りは関わってみないと分からない。


混乱する頭でも、コイツをはなっから信用する気はない。もしかしたら、コイツも白神っち擬きの仲間かも、しれないのだから。


「おまえ・・・」

すると、隣から困惑したような声がした。
火神っちだ。

いち早く正気に戻った火神っちは、顔見知りなのか、『ちゃむ』に向かって声を掛けた。


「おー、火神お久ー!まぁ色々聞きたいこととかあるだろうけど、とりあえず黒子よろしく!」

そう言って『ちゃむ』は近くにいた俺や青峰っちよりも、奥にいた火神っちに呆然としていた黒子っちを託して、きぃきぃと建て付けの悪い扉から何を思ってか出ていった。



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