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「つーわけで!真ちゃん行くべ!」

「まったく、尾行などと悪趣味なのだよ」

宮地に言われたように、高尾緑間コンビはいつものチャリアカーを諦め大坪泰介の後をつけていた。といっても、肝心の大坪は校門前で人を待っているようで帰る気配はない。恐らくは例のあの人を待っているのだろう。


「んー、大坪サン帰る気配がありません、どーぞ。」

「どーでもいいのだよ、どーぞ。」

「そんな乗ってくれる真ちゃん大好きです、どーぞ」

「うるさいのだよ、主将に気づかれたらどうする!・・・なのだよ、どーぞ」


おー、真ちゃんがデレたwwナニコレこっちもちょー照れるww


「なにしてるの?えっと・・・高尾くん、と緑間くんだよね?」

大坪に見つからないよう隠れながら遊んで緑間がデレてさらに高尾がそれに照れたとき。後ろから女性に声をかけられた。

もしかして、?と2人は振り返ると心臓が飛び跳ねるのがわかった。

ー白神綾乃、先パイ・・・!

よりにもよって、本人に見つかるとかダメじゃんおれら!どうする?どうする?!ライフカード!


「えと・・・、白神先パイ、ッスよね、?なんで俺らのこと・・・」

「あ、ごめん!3年の白神綾乃です。2人の事は泰介くんからきいててお話したかったの」

「マジっすかーww」

泰介くん?!え、名前呼び?!まじ2人どんな関係?つか主将俺らのの何はなしてんの?!

と高尾が焦っているとき。


「高尾?緑間?」

今度は大坪にも見つかってしまった。

・・・チェックメイトなのだよ。

高尾は隣で緑間が小さく言ったのがきこえた・・・気がした。幻聴であってほしいものだ。


「あ、泰介くんごめんね、待たせちゃった?」

「綾乃?いや、そんなに待ってないから大丈夫だ。高尾、緑間お前らなにしてるんだ?」

「いやー、あはは・・・」

綾乃は大坪をみつけると笑顔で駆け寄り、そのまま大坪の腕の中にダイブする。

高尾はどうにかこの場から逃げようと画策する。緑間はあきらめたように今日のラッキーアイテムのスライム(ショッキング緑)を弄っていたが、2人はその光景に目を見開いた。


「はい、高尾緑間、アウトーwwww」

「宮地先輩!」

そこへニヤニヤと口角の上がりっぱなしの宮地が申しわけないなさげな木村とともにあらわれた。


「宮地くん、木村くん。」

「よぉ、白神久しぶり」

「久しぶりだな」

そんな2人ににこやかに笑って挨拶をする彼女は、変わらずに大坪の腕の中にいたが。そんな自分の状況を思い出してかそそくさと出て妥協策のつもりで大坪と手をつないだのだった。

宮地は苦笑して結局手は繋ぐんかい!とツッコミを入れていたが御愛嬌だろう。


「え、・・・は?」

「大坪先輩?」

それについていけないのは新入生で今年バスケ部に入ったばかりの1年コンビだ。いつもは饒舌に語り笑点の低さゆえに笑ってばかりの高尾も変なおは朝のラッキーアイテムを持ち変人で時折常識人なのか非常識なのか曖昧な緑間も、話題についていけず3年の4人を目が点になる程に見ていた。

それに対して宮地は先程から口角が上がるのを抑えきれないでニヤニヤと笑って、木村はそんな宮地をみて笑っている。ここのサイクルは上手いことできているようだ。


「あー・・・、なんだ、宮地、木村、言ってないのか?」

照れくさそうに大坪はぽりぽりと頬を掻きながらチームメイトである宮地と木村を呼んだ。

宮地と木村はいたずら小僧の悪戯が成功した時のように晴れ晴れとした顔でいった。


「いやぁ、やっぱそこはキャプテンがしっかり言わなきゃでしょ」

「そうそう。お前らの事、俺らが勝手に言っちゃダメだろう」

何より1年コンビドッキリさせたかったし!
きらん!

とみなまで言わないでも、2人の言わんとすることは3年間同じ学校、同じ部活で切磋琢磨してきた大坪にはわかってしまって、思わず気恥ずかしくなったり、チームを取り纏めるキャプテンとしては頭を抱えたくなってしまった。


「頭抱えてるトコ悪いんスけど大坪さーん。白神先輩とはどのようなご関係っスか?!」

まさか彼女?!
彼女っスか大坪さん!!

鼻息荒くわくわくドキドキと興奮した高尾が大坪に詰め寄る。緑間はラッキーアイテムのすらいむくんをボテっと落として固まっている。


おい、緑間、ラッキーアイテムそんまんまかよという宮地や木村のツッコミは総スルーである。後でパイナップルと軽トラな、というアイコンタクトは見なかったことに。


「知ってると思うが3年の生徒会会計の白神綾乃さんだ。その・・・、俺のか、彼女だ」




この日一番の絶叫が響いたのは間違いない。



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