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1
どんな世界なのだろう、と思った。
「大坪くん、」
がらり、と年季の入った体育館の扉が開く。
建て付けの悪いこの体育館の扉は、なかなかに重たい。歴史ある高校の、古くからある建物だから仕方無いといえばそこまでなのだが。
そうやって重たい扉を開けたのは、セーラー服を着た見たこともない女の子。
今年入ったばかりの1年、特に高尾と緑間はきょとんとする。
古豪秀徳高校バスケ部。
その練習中の体育館にバスケ部以外の出入りはなく。しかもその子が用事があるのが大坪主将なのだからよほど驚いた。
「どうした?白神」
「部活中ごめんなさい、今ちょっといいかしら・・・」
「ああ、監督に言ってくる」
大坪主将と親しげに一言二言言葉を交わしたセーラー服の子は外へと行き、我らが大坪主将は中谷監督に許可を取り同じく外へ出ていった。
「おい1年!サボってんな!練習やんぞ!」
「ちょ!宮地先輩!フツーに練習とかwwwダレ?あの子ダレっすか?!」
そういっていつものように練習を再開させる宮地に初めに意識を取り戻した高尾がつめよる。
「あ?んでだよ」
「え、めっちゃ気になるじゃないっすか!大坪主将ですよ!大坪主将!しかも遠目でもあの人めっちゃ綺麗だったじゃないですか!」
ねぇ真ちゃん?!
と同意を求めると、緑間はメガネのエッジをあげながらコクリ、と頭を縦にふった。
「あー、アイツ?」
「いまさっきのだろ?そうか。俺らは見慣れてるからそうでもなかったけど・・・」
「ああ、そういや、今年1年入ってアイツ来たの初めてか。」
そういって宮地と木村は興味津々な1年コンビに納得する。
それと同時に宮地と木村は顔を見合わせてアイコンタクトをとる。1年からバスケ部で仲の良かった2人には雑作もないことで。
それは主に宮地のイタズラに木村が乗るか乗らないかの相談を瞬時にするものがほとんどである。
彼らの味方をするならば、そのアイコンタクトはなにもイタズラだけではなく、バスケの試合にも応用されることをここに追記しておこう。
とどのつまりは。
どうやってこの2人にインパクトのあるあの子の紹介の仕方をするか、である。
ーどうする?
ーどうするって、フツーに言っていいんじゃないか?
ーバッカ!そんなんつまんねぇだろー!ここはやっぱアイツら2人ビビらせたくね?!
ーまあ、いや、びびるかなあ、アイツら。なんにしたって驚きはするだろうけどな
ーああ、まあ。たしかになー。
そんなやり取り。
そうこうしているうちに大坪が戻ってきた。
「大坪サン!いまの子って?!」
この先パイに聞いても埒があかないとふんだのか、高尾は直接大坪にきく。
「ん?彼女は白神綾乃だよ。生徒会役員でちょっとな。」
「いやいや!名前もそうですけど!・・・て、生徒会役員?」
「生徒会が主将に何の用事ですか?」
「今度のバスケ部合宿についての会計をな」
そういって大坪は先ほどの報告をしに中谷監督の元へいく。
そんな大坪に違和感を否めない高尾と緑間はそれが何なのか解らずに頭をひねる。
そんな光景を見ていた宮地はニヤニヤと意地悪そうな顔をした。
「そんなに気になんなら、部活後アイツの後つけてみな。面白いモンみれんぞ」
シバかれても知らねぇけど、
なんていってのけた。それに木村が諌めようとしたが、宮地の楽しげなそれにたまにはこういうのも悪くないな、と考えていうのをやめた。
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