さて、地獄の烏養合宿(違う)が無事終わりましたー。無事じゃねぇけどー。

この4日間お世話になりました、とご迷惑おかけしてごめんなさいを言いに菓子折りを看護士さんの所に持っていったところ、院長室にお呼ばれ。

うぇ、やっぱり怒られるよなぁとか思っていると院長とじいちゃんばあちゃんと一繋さんと俺でお茶会しました。

なんでもここの院長とばあちゃんが旧知の仲だとか。とかソフトに言ってっけど昔ばあちゃんが学生の時、地元の不良纏めてた頃に絡まれてた院長を助けてくれた大恩人だそうで

ばあちゃん……

「昔にちょっと遊んでただけよぉ
私もおじいさんも皆若かったんだからー」

あはは、なんて口元に手を当てて笑う仕草の似合うばあちゃんがまさかの元スケバンとか笑えませんばあちゃん……



閑話休題
ところで。腕の痣やべぇーってRINEに上げたらその日の通知がおそろしい事になりました。もちろん、通知切りましたけど!

基礎体力はバスケで培ったものがあったので一繋さんの走り込み練にもケロッとしてたらもういいと言われた。バスケ辞めても走ったりしてたからなー

じいちゃんと一繋さんはバレー部合宿がGWからって知ってるのでそれまでにって思って間に合うように俺を強化してくれたんだろうけど……

死ぬかと思いました。


4月31日 昼休み。
武ちゃんの所に入部届けを出しにきた。

「失礼しまーす。武田先生居ますかー?」

「あ、はい。おや、白瀧くんこんにちは」

こんちは、なんて挨拶をしながら机まで行くと、持っていた入部届けを差し出す。

1年2組白瀧大和 男子バレー部と書かれたそれは薄っぺらい紙だけど、これからの3年間を左右する重要なものだ。

それを立ち上がってしっかりと両手で受け取った武ちゃん。こういう事が意図せず出来るってすげぇよな、と思う。


「確かに受け取りました。
これから、よろしくお願いします」

「よろしくお願いしまーす」

ぺこり、と頭を下げて挨拶をして、これからの事を相談する。

「これから繋心……あー、コーチの所行って挨拶してきますねー。今日の放課後から練習に出たいと思ってますが、大丈夫ですかー?」

「あっ!はい、大丈夫です!」

ニコニコとして武ちゃんはとても嬉しそうに楽しみですね、なんて言っている。
そんな武ちゃんにそうっすねー、なんて世間話をちょこちょこ。そのまま繋心の所に行くので別れて学校を出て坂の下へ。

「いらっしゃーい、ってお前か」

「俺だとなんなのさー」

気の抜けた繋心の声に力が抜ける。
菓子パンを2個と紙パックのカフェオレ、チュッパチャプス、缶コーヒーを手に取りレジへ。

「おー、お前まだバレー部入んねぇのか」

GW合宿直ぐじゃねぇか、なんて煙草をふかしながらピッピッ、とバーコードを読み取る。合計で613円。千円札と13円出す。

「ああ、それ言いに来たー。今日からバレー部入ったんで、よろしくお願いしまーす。コーチ?」

お釣りを貰って。そう言って笑って袋詰めされた物の中から缶コーヒーとチュッパチャプスを出して繋心に渡す。

「それ、好きだったでしょー?煙草の匂い着くからこっちにしなよねー」

「うるせぇよ、」

とかいって煙草消すあたり素直じゃないね。
そしてそんな2、3日で使えるレベルになったのか、なんて半信半疑な眼はやめてくださーい。


「ゴリゴリに扱いてやるよ」

「お手柔らかにー?」

カフェオレの紙パックにプスッとストローを挿す。

中学時代、鬼の帝光中長期合宿と烏養さんとじいちゃんの特訓を乗り切った俺を舐めんなよー



放課後
烏野高校第2体育館。

とりあえず持ってきてた白の無地Tシャツと体操着の短パンに着替えて体育館に。

着替え?教室でやりましたよ。
いや、さすがに下はトイレ行ったけど、男がそんな所で上着替えたって恥ずかしくもないし。ただ女子には触られました。恥ずかし笑!

部活始まる前に武ちゃんの所に行って一緒に体育館に行く。準備が終わりアップを取っていたバレー部を集めて自己紹介。

俺を見て翔陽がソワソワとしている。
なにあれ可愛い。

「えー、以前言ってました白瀧くんがバレー部に入ることになりました」

「1年2組の白瀧大和です。バレーは始めて間もないし、中途半端な時期ですみません。とりあえず皆さんの足を引っ張らないように頑張りますねー」

ペコリと挨拶をする。
翔陽がキラキラソワソワ。
影山くんが訝し気にこっち見るし、金髪メガネは眉間に皺寄せてるしソバカスくんはオドオドしてる。大丈夫か1年。

「ようこそ!主将の澤村大地です、よろしく!」

「俺は副主将の菅原孝支。暫く俺が面倒みるから、よろしくな。わかんない事あったら何でも聞いて」

「はーい、よろしくお願いしァス」

ズッシリ。
その名の通り大地みたいな人だ。
芯がしっかりしてちょっとの事じゃ揺らがないような印象を受ける。

菅原さんは、なんというか……。
爽やかなんだけど腹に一物抱えてそうだなーって感じ。でもよく人を見てる世話焼きさんかなぁ

これからお世話になるからお口チャック。

「あっ!とりあえずバレー部自己紹介してもらえるかな、白瀧くんも知りたいだろうし」

武ちゃんの言葉にバレー部はういっス!と声を出して返事した。わー、こういう体育会系の返事久しぶりー

「俺とスガはさっきも言ったし、3年の旭からでいいか」

「そうだな。ほれ、旭から2年、1年の順な」

「ええっ、えーと、東峰旭です。よろしくな」

3年は3人だけなんだろう。
旭さんは旭が名字かと思ってた……。
旭さんによろしくお願いしまーす、といえばじゃあ2年!とスガさん。

「田中龍之介だ!バレーでわかんねぇ事あれば何でも聞けよ!」

「ウィーッス。あざァっす」

「んじゃあオレ!西谷夕!烏野の守護神たぁ俺のことよ!」

「守護神……」

その言葉に翔陽と田中さんがうおおお!かっけぇー!と騒いでいる。スガさんに注意されてたけど。続いて縁下さん、成田さん、木下さんに自己紹介され、よろしくお願いしますと頭を下げる。

「で、あと1年な」

「俺!日向翔陽!よろしくな、シロ!」

「知ってるよー。よろしくなー、翔陽」

にか!っと笑って手を出したので翔陽とハイタッチ。うぇーい。

「影山飛雄。」

黒髪吊目の影山くんは小さな声で言ってきてコイツが翔陽が言っていた影山くんかーと、思う。よろしくーと返せばふい、と顔を背けたのでちょっとイラッ……。

としたのでガッと両手で影山の顔を無理やりこっちに向けてよろしく?と言えばよ、よろしく、と戸惑ったように言ったのでパッと離す。

「よろしい。」

「シロお前……」

翔陽がガクブルしてたけど
笑顔で、ん?何?と返しとく。

「キミよくやるねぇ、月島蛍。さっきのよかったよ」

「だろー?白瀧大和な。キミとかやめてー、なんかぞわぞわする。蛍でいー?」

「……じゃあ大和で。なんでもいいよ」

そんな会話をしながら握手。
なんとなく金髪メガネのコイツとはウマが合いそう。蛍って書いてけい、とかしゃれおつーっていえば拗ねそう。黙ります。

「あっ、俺、山口忠。よろしくな」

「こっちこそーよろしくー」

ソバカスくんは山口くんだって。
1年で山口だけレギュラーではないらしい。というか1年でレギュラーとか翔陽たちすげぇなー

「俺も頑張るから山口もがんばろー」

「うん、頑張ろうな」

といって山口とも握手。

「部員はこれだけ。で、あと、マネージャーの……」

「喜べ大和!女子マネだぞ!」

「我らが麗しの潔子さんだ!」

スガさんが紹介しようとしたまさにその時。田中先輩と西谷先輩がまるで自分のことのようにドヤ顔でドーン!と膝をついた。

……女マネの潔子さんにまるでスポットライトが当たったかのような気がした。田中先輩西谷先輩すげぇ。

「田中、西谷それやめて。……この間はありがとう。3年の清水潔子、よろしく」

少しの恥じらいと嫌悪感を抱きながら田中先輩と西谷先輩にいうその人は、この間町内会チームに連れてこられた時のメガネ美人さんでした。やっぱり。


「いや、俺こそ持っていくっつって入り口までですんませんした」

「いい、場所分かんなかったでしょ?助かったし……、重かった、よね。ごめん」

「いえ、逆にあんな重いの清水先輩に持たせらんないですよ」

力仕事とか何か手伝えることあったら言ってくださいね、というと、ありがとう、と潔子でいいと言われたがさすがにダメだろ。潔子さんと呼ばせてもらいます。

そんな俺ら2人にバレー部はきょとんとするが、田中先輩と西谷先輩は俺に、おのれ!大和ー!と飛びかかってきたが縁下さんにやめろ、ホレ練習行くぞーと連れてかれた。

縁下さんつえぇ笑

そんな2年生を見送りつつ、澤村さんたち3年に声を掛ける。

「すんません、こんな微妙な時期に」

「ああ、気にすんな!」

「そうそう」

「むしろ人少ないから入ってくれて嬉しいよ」

「そう言って貰えるとありがいっス」

「シローーーーーーッ!!!!!!!!」


旭が名前呼びなら俺も大地でいいよ、あ、大地ズリぃ!俺もスガでいいよ!なんなら孝支でもいいし!なんて話してると爆弾が自らきた。

「翔陽、お前今俺が大地さんたちと話してんだろ」

突っ込んできた翔陽をガッと止めて。
そういうと翔陽はサッと顔を青くしてすんません大地さん!と謝る。

「そういえば、日向と白瀧は知り合いなんだっけ」

「はい!」

「まあ、そっすね」

「こんな正反対みたいな性格してんのにな」

スガさんがそういうと大地さんは意外そうな顔をする。まあ、日向が元気過ぎんだと思うけど。





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