流石に3日連続はジロちゃんが許してくれなかった。まあ、放課後じゃないだけましか。

そう思って持ってきたお弁当をひらく。
といってもキャラ弁とかではない。
昨日の残りの魚の干物と野菜炒めと朝作った玉子焼きとトマトが彩用。中々のお弁当。うむ、美味い。

「てか!最近シロってば付き合い悪いー!俺放っといてどこ行ってんのー!?バスケ部にも顔出してないしー!」

「ああ、悪ぃ。今バレーやってんだよね、」

俺って言うと、ジロちゃんが弁当片手に止まってた。田川、ジュース溢れる。

「えっ、ちょ、マジで?」

「バレー?シロが、あの全中3連覇の帝光中バスケ部バスケバカのシロが、バレーーーーー?!!」

ジロちゃん驚きすぎ。


「ちょっとディスんなし。まあ、うん、この間…ってか始めてまだ3日目くらい」

この言葉にはさすがの久瀬も驚いていたが。

「そりゃこないだ始めたばっかだもん
だから放課後練習してるんですー」

「いや、そうじゃない。」

「てかなんでバレーなんて始めんの!シロは俺とバスケしよーよぅ!」

学ランの胸ぐらを掴んでガクンガクンと前後に揺らすジロちゃんは酔いそうになってる俺なんか見てない。絶対に。勝ち逃げなんて許さない!なんて言ってるがこちとら既に負けそうな気も無きにしも非ずなのでどうしようもないのだが。

「バレー、部、まだ、入部、した、訳じゃ、ない、けど、っうぇ、」

「えっ本当?!」

揺らされながらそう言うとジロちゃんはパッと掴んでいた手を離しキラキラとした眼で見てきた。喜べ諸君作戦成功だ。

「入部した訳じゃないけど入るの確定」

「なんという上げて落とす作戦か!」

流石に胸ぐらは掴まれなかったが、今度は机に突っ伏しておいおいと泣いている。

知るか

「烏野バレー部みてさ、やりたいと思った」

町内会対バレー部をみた素直な感想だ。

「アレは全国行けるポテンシャル持ってるよ。IHももしかしたら行けるかもしれない。ムリかもしれないけど次の大会は行ける、そう確信した」

どうなるかはわからないけど、と付け加える。相手にもよるし他のチームも見てないから烏野の地力とこれからの繋心の指導力にもよるけど。

「けど、全国目指してる奴らの中に初心者の俺の世話とかして練習時間削るとか脚引っ張りたくねぇし。ある程度のレベルまで自分の力伸ばしときたくていま練習してんの」

それを聞いてジロちゃんはそう言われたら何も言えねぇじゃんと拗ねてしまった。ごめんて。

「とりあえず白瀧が好きな事に対してすんげぇストイックなのは解った」

「俺も幾らサッカーの為でもそこまでないかなぁ」

「だからシロたちは3連覇なんてバッカみたいな偉業が出来たんだろ」

俺がちょっと語ってしまったので弁当の箸が止まってしまったが久瀬や田川が俺を見て唖然としていた。

初心者OKっつってんだから気にしなくていいモンをなぁ、と言ってるが、こればかりは俺の気の持ちようって事で。

バレーとバスケって競技は全く違う。自分の身体の使い方は自分がよく知ってる。バスケではこう動かせばそう動く、みたいな動作をバレーではどうなのか確認も兼ねてる、なんて言えば不思議な顔をすること間違いない。

「あー、じゃあ白瀧バレー部確定かー。バスケ部どうすんの?」

「いや、もともとバスケ部入ってないしな」

「そうだけど、堤がうるさそう」

久瀬とジロちゃんを放っておいて弁当の中身を減らしていく。田川は菓子パン2個目。

バスケ部顧問で監督の堤宏明(36)体育担当教諭は根っからのスポ根教諭。暑いしウザイの一言。あれ、二言?まあいいや。に限る。一部には人気だけど。俺微妙。

俺が帝光中出身のバスケ部だと知ってからの勧誘の雨あられ。あれこれイチャモンをつけて引き入れようとしたりもうそろそろ堪忍袋が弾け飛びそうどうしよう。

俺としては体育副担当の佐倉先生(48)に監督になって頂きたい。あの人が監督ならバスケ部入ったかもしれないが。

「一応助っ人としてなら出るって言ってる」

じゃないと何時までもずっと付き纏われそうだし、と言えば3人はああ、と納得した。

いや、しないでくれ。

「堤んが助っ人で納得したならしょーがないかぁ」

はあ、と溜め息をついて惣菜パンの封を開けるジロちゃんの、そういう事、といっておれも玉子焼きに箸を伸ばした。

「とりあえずみんなIH予選頑張れー」

「「「そうだな……」」」




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