コートの中では西谷くんが旭さんに全然ジャンプ出来てないとおかんむりだ笑
旭さんはそれに対して申し訳なさそうに謝っている。あれ?そう言えば西谷くんと旭さんと菅原さんって先輩かー。くんとかつけちゃったwww
黙っとこ。
バレー部側のコートはガタイのいいえーと、澤村さん?と坊主頭と翔陽が嬉しそうに相手コートを見ながら話していた。
エース復活だもんなぁー
そりゃ嬉しいよね。
「何言ってんスか大地さん!こっちには俺が「こっちには俺が居ますよっ!!」」
……カブってるけど。
第1セット
町内会 07 対 烏野高校 05
ナイッサー!!
さっこぉーい!!
と体育館に擦れるシューズ音。
掛け声は違うがなんだか懐かしいな
町内会がサーブを打ちバレー部コートへ入る
縁下さんとやらがサーブレシーブをするもキレイにセッターの元へは行かずカバー!との声。
「スマン影山!カバー頼む!」
縁下さんの声に影山くんがハイと答える、……前に翔陽は動き出していてフッと影山くんが静かにボールを上げた先には、既にアタックモーションに入っていた翔陽が居た。
ドパンッ!!!!!!
と町内会チームが見送る中ボールは床につく
「ナーイス!日向影山!!」
と坊主頭がいうが、繋心も町内会もポカーンとあんぐりと口を開けたまま放けている。
攻撃が速い。
これは速攻?バレーでも速攻っていうのかな?
でも翔陽ボール打つ時眼、閉じてた。
今まで見てきたバレーで思ったのはセッターはアタッカーに合わせる、んだよな?あれ?んん?何だろう、モヤッとする。翔陽が攻撃の主体なハズなのになんだろー?
モヤモヤ考えていると西谷くんがスゲーじゃねぇか翔陽!と興奮した様に褒める。
「なんだなんだ!うっかり見入っちゃったぞ!」
その言葉に翔陽はえへへ、と照れていた。
そう言えば前に翔陽は西谷くんからローリングサンダーを習っていると言ってたなー。そら教えて貰ってる人から褒められれば嬉しいよなー
さっきのモヤモヤは後で聞こうと片隅に追いやり、繋心を見る。呆然とした顔だ。
「
サインを出してるわけでもなかったし、声もかけてない、のに?!」
何やらぶつぶつと言っている。
アブナイ人見たいだ。
すると突然ウォい!!!と翔陽に声を掛ける。
突然呼ばれた翔陽はビクッと肩を跳ねさせた。
何故呼ばれたがわからない翔陽は疑問符を頭につけながら振り返る。
「今なんでそこに跳んでた?!ちんちくりん!」
「ちんっ……」
繋心、ちんちくりんて笑。
「どっ…どこに居てもトス来るから……です」
「!!ーー……」
翔陽の言葉に繋心は怯んだ様にみえた。
高校1年の周りより明らかに小柄な翔陽に気圧されたのだ。
「
明らかに…今…ちんちくりんはトスを見ずに跳んでいた……。この1年セッター…ちんちくりんの動きに、完全に合わせたのか……?!」
繋心が翔陽の言葉に考察をし始める。
はっはー。武ちゃんいーの連れてきたねー
こうやってコーチから抜け出せなくなるのを見るのは傍から見ると面白いものがある。口角があがりにやにやするのを止められない。止める気もサラサラ無いけどー?
「
トス来るから≠チて何で言い切れるんだ?!それだけで全くトス見ないでフルスイング出来るか普通?!」
ぶつぶつと止まない呟きに可笑しくなる。
側にいる武ちゃんは繋心の様子にそわそわとしているし、バレー部面白いなぁ
「武ちゃん、いーの連れてきたね
まさか繋心がここまでバレーバカで指導者に向いてるとかミジンコ程も思わなかったよ」
「あ、ははは……。烏養くんは以前ここで監督をなさってた烏養監督のお孫さんなんです。正直な話、ネームバリューに頼った所もありましたが……、予想以上です」
まだぶつぶつ言っている繋心を見て、コートを走り回り、跳ぶバレー部員をキラキラとした瞳で見つめる武ちゃん。繋心は翔陽と影山に変人コンビか!と逆ギレしながら言っている。
菅原さんと旭さんの攻撃がズダンッといい音を立てて決まる。嶋田さんがその攻撃に驚いて滝ノ上さんが笑っている。
「1ヶ月ばりでもタイミングバッチリだなチクショーめぇっ!」
「田中喜びすぎ」
あ、あの坊主頭田中くんか。いや、さんか。
田中さんが旭さんたちの攻撃に口では悔しがっているが顔はとても嬉しそうだ。それを見ていた澤村さんも苦笑いでそう言った。
「トスとスパイクの一瞬の呼吸……
そりゃあ沢山の練習と積み重ねた時間があるから出来ること。あの信頼関係は一朝一夕で築けるものじゃない。」
菅原さんと旭さんがハイタッチしているのをみる。確かにいいコンビ。
「1年セッターにあるのが圧倒的才能≠セとしたらこっちは積み重ねた信頼と安定▲
繋心は影山と菅原さんを見比べる
俯き顔に影を落として口角があがる。
まさにニヤリッと十中八九皆から悪い顔ーなんていわれるようななにか企んでいる顔だ。悪人面とも言うか。
荒削りながらも皆活き活きとバレーをする。
時にはブロックをし、セッターがブロックを剥がしアタッカーが決める。リベロが拾い、またセッターへと繋ぐ。
飛び、繋ぐ。
そんな烏野のバレーに繋心はいいじゃねぇか!今の烏野!と目を輝かせている。
「もっと早く言えよ先生!!」
と繋心はバシン!と武ちゃんの背中を叩く。
あまりの痛さにぎっ!っと変な声を上げる武ちゃんは、ジンジンと痛む背中を気にしつつ、既にバレーに夢中になるっている繋心に向かって何回も言いましたよ、僕……と恨めしそうに言った。
繋心は聞いちゃいなかったけど。
「……白瀧くんは、どうですか?バレー部」
キラキラした眼をコートから離して少し様子を伺うようにきいてきた。
一生徒を部活に誘う先生というより、心配する兄のような感じだ。いや、武ちゃんなら弟に欲しいけど。
確かにバレー部は面白い。
バレーに全く興味のなかった俺がワクワクして混ざりたいとまで思ったほど。興味があるヤツはトコトン突き詰めるまでやるタイプの俺が、今まで触りはあったとしても1度も惹かれなかったバレーが。
とてもおもしろく感じた。
しかし反面バスケに未練がないと言いきれないのも確かだ。そりゃ小学校から今までやってきたヤツをおいそれと捨てれはしないしなー。
良い時も悪い時もバスケをやって来たからあるのだし。
「白瀧くんの気になるところは、やはりバスケットボールでしょうか?」
バレーボールを目で追いながら考えていると武ちゃんに言い当てられる。
「よくわかるねぇー」
と、思わず溜息。
「白瀧くんの事は入学当初職員室では有名でしたから」
武ちゃんはにこにこ笑っていう。
「へぇー、どんな?」
「全国中学校体育大会≠ナ3連覇したバスケ部員が何でこんな烏野にって。……違いましたか?」
武ちゃんはコートを見つめる俺をみる。
くりくりとした大きな眼はなんだか逃がさないと言われているようで苦手だなぁ
「いんや、違わないよー。あってる。
俺らの代は3連覇したねー大変だったよー」
主に中3の最後の大会は。
なんて言わないけど。
「やはりバスケがしたいですか?」
「んー、正直、今はバレーがしたい、のかな
でもバスケは捨てれないんだよなー」
まあなんて贅沢。
「なら、バスケもバレーもやればいいんです」
「はい?」
何言ってんだこのたんぽぽメガネ。
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