「な、なんスか」
思わず上擦った声がでる。
嶋田さんも驚いている。
「大和、お前さ、何かスポーツやってた?」
ギラリと眼光を強くして俺を見つめる滝ノ上さんは逃がさねぇぜぇと鬼が笑うようにこっちを見る。
「え、まぁ、バスケ部でした」
「あれ、そうなの?」
嶋田さんは知らなかったのかびっくりしている。ばあちゃんと仲いいし、知ってるもんだとばかり。スポーツはしていたのは知ってるけど、バスケだとは知らなかったってのが本当らしいけど。
「ふーん?バレーはやったことあんの?」
「いや、小中学で体育の授業でやったくらいだけど」
「ふんふん、ということはある程度ルールは知ってんだな」
「はぁ、」
何が言いたいんだろうこのオッサン。
おっと、26らしいからまだオッサンは可哀想かな。しかし、身体をペタペタ触んのやめろよキメェ。とか思ってんですけど。
「うし!お前今から町内会チームな!」
「はぁ?」
「ちょっ、滝ノ上何いってんの?!」
……キチガイか?
要約すると今から町内会チームで練習試合やんだよ。で、人数足りねぇからお前入れよってことらしい。
いや、ムリだし。
ルール齧った程度でしか知らねぇし、体育でしかやった事ねぇっつってんのに意味わかんねぇわー。いや、そもそも俺はばあちゃんのお使いの最中です!
「身体付きもしっかりしてるし、ルールはそん時教えてけばいいだろ。」
滝ノ上さんはそういって肩をポンポンと叩く。嶋田さんもなんか言って下さいよ、と抗議しようと2人をみると、何かを考えていた嶋田さんが持っていた袋をひったくる。
「ちょ、嶋田さん?」
「まあ、1回やってみてよ。これは嶋田マートが責任をもって白瀧さん家に届けてあげようじゃないか」
……めんどくせぇオッサンどもめ。
これは抗議してもムダだと悟る。
「まあ、とりあえずばあちゃんに電話してみます。それでいいって言われてらまあ、いいですよ」
と苦し紛れにいって電話をかけたら物の見事にばあちゃんから気にしないで遊んでらっしゃいなー!あ、でもシューズとかある?タオルは?と別の事を心配された。ばあちゃん……
「あ、そうか。シューズとかは自分のがいいよね。車で送ってあげるから取っておいでよ」
「じゃあ俺は内沢と森拾って先行ってるわ」
トントン拍子に進み、ばあちゃんに煮砂糖を届けるとニコニコとタオルとスポーツドリンクを手渡された。え、なにこの外堀を埋められてる感じ。こわ。
とりあえず帝光時代に使ってたスポーツバックにタオルとスポーツドリンク、スマホとシューズ(てかバッシュしかないんだけど)を突っ込み今日何回目かの行ってきますを言うとばあちゃんは嬉しそうにいってらっしゃいと応えた。
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