ヒソカが探し人じゃないかって?いやー、だからピエロに知り合いはいないんだってば。


A person one yearns for #03


「私はネコ。私も一緒に連れていって」

本当は、多分一人でも二次会場まで辿りつける。
でも、あの方法は神経使うから嫌なんだよね。

それにしてもゴンはすごい。
どんな嗅覚をしているんだろうな。

金髪の青年はクラピカ、サングラスの青年はレオリオというらしい。
そのレオリオのコロンのにおいを辿っているらしい。

ゴンは人懐っこい顔で私に話してくれる。
クラピカは用心深い感じで私を観察している。

二次会場に向かいながら、先ほどのヒソカの話題でいっぱいだった。

なぜ?どうして?
ゴンのヒソカの言動や行動に対しての疑問に、クラピカが予想で答える。

「殺されるかもしれない極限の状態なのにさ、変だよね?」

ん、とクラピカと二人で耳を傾ける。

「オレ、あの時少しワクワクしてたんだ」

それ、わかるかも。
昔私も似たようなこと思ったな。

「そういえば、ネコはどうしてあの時逃げなかったんだ?」

物思いにふけっていると、今度はクラピカが質問してきた。

…はて、そういえばなんでだろう。
別に勝てると思ったわけでもない。
ピエロに関わりたくないとすら思っていたのに。

「うーん…ちょっと昔を思い出してて逃げそびれちゃって」

はは、と笑うと、あの状況であり得ないっていう顔をされた。
ですよね…。

「あと、一方的に殺されるっていう考えもなかったからかな」

そう付け足すと、クラピカは神妙な顔つきになった。

(確かに…ネコが背後にいたことにも気がつかなかった。ネコもヒソカに劣らず相当の手練ということか。要注意だな)

クラピカの視線がさらに厳しくなった気がした。









「どうやら間に合ったようだな」

すごい。本当に着いた。
まぁ、ヒソカの目印もあったんだけど。

すぐにレオリオを探すゴンとクラピカ。
ヒソカがゴンだけに殺気を飛ばす。
それに気づく私は…まぁまぁ強いからかな。

ヒソカに居場所を教えてもらった二人は急いでレオリオの元へ向かう。


私は…ついていかなかった。
もともと、団体行動って苦手なんだよね。

ふと、ヒソカと目が合った。
先ほどのあの視線を思い出して、なんだかゾワッとした私は、ヒソカから見えないところへ移動した。
ヒソカの笑い声が聞こえた気がするのは、きっと気のせいだ。

「おねーさん」

さっき目があった銀髪の少年だ。
先程は人が多くてわからなかったが、片手にはスケボーを持っている。

「オレはキルアっていうんだけど」

この子はキルアというのか。
さっきのゴンと同じくらいの歳かな。

「私はネコよ。よろしくね」

ニコリとすると、やっぱりそっぽを向く。
これはもしかして、照れているのかな?
可愛いなぁ。

「おねーさんさぁ」

視線を外したまま、キルアは続ける。

「1次試験の途中までいなかったよね?」

「うん」

即答すると、少しだけ目を見開いてこっちを見た。

「どうやって試験に参加したの?」

それ、とバッジを指さす。

「俺より前にあんたはいなかった。まさか誰か殺して奪ったってわけじゃないよね?」

(人殺さなさそうで可愛い顔してるけど、こいつは何か引っかかる…)

「え」

今度はこっちが驚く番だった。

やはり、この番号は来た順番につけられるらしい。
さっきちらっと見たけどゴンやクラピカは400番台だった。
でもちゃんと、関係者からバッジをもらったはずだし…。
そういえば、あの血痕…。

「えっと、もしかして試験開始前に棄権になった人っていなかったかな?」

キルアは記憶を探る。

「ん〜〜。…あ。そういえばヒソカに腕斬られたやつがいたっけ」

それだ!!

「私、実は1時間遅れて出発してるんだ。だから間違ってその人の番号もらったのかも」

「ふーん…?(まぁ試験たるかったし俺でも余裕だな)そっか。…あ、またねオネーサン」

キルアは私の先に何かを見つけたようで、そちちへと向かっていった。
納得してくれたんだかどーなんだか。
…どっちでもいっか。だって、不正はしてないもん。

キルアを視線で追い掛けると、ゴン達と合流していた。
キルアもゴン達の仲間だったらしい。

「香水のニオイをたどったーーーーー!?」

あはは。
やっぱりそこビックリするよね。
キルアの叫び声に一人微笑む。

共感したところで、次に感じたのはこの距離感だった。

(…いいなぁ。仲間がいて)












ククク…。
まさかこんなところで会えるとは。
しかもボク好みに成長している。

女性をいたぶる趣味はないが、強い者とは戦いたい。

食べ頃か…いや…でもまだまだ彼女は熟れそうだ…。
ああ……今年のハンター試験は大収穫だ。

「ヒソカ、上機嫌だね」

カタカタカタ、という効果音つきで、彼は言った。

「ああ…何人かいいのがいてね…」

クックック…笑いがとまらない。
殺気も収まらない。
仕方がないから試験官にぶつけることにした。

「ふーん」

(その中に、キルも入ってるんだろうなぁ)

「一番は58番?」

あのときにイルミも彼女に気付いていた。
当然といえば当然か。

「彼女はボクの獲物だから手出ししたらただじゃおかないよ」

「……」

相変わらず無表情でカタカタいってるけど、
なんとなく雰囲気で不思議がっているのがわかる。

「珍しいねヒソカ」

何が珍しいかは聞き返さなくてもわかる。

「彼女は特別だからね」

自然と顔がニヤける。
ボクの壊したい…もとい戦いたいリストに女性が含まれることは珍しい。
むしろネコ1人といってもいいだろう。

(ネコは誰にも壊させない。…キミはボクが壊す)





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2012.06.11 ヒソカの特別に…なりたいねぇ

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