こんなサバイバルの中、完全に寝ることなんてできるわけがない
ほどほどに睡眠をとった私は、朝早くに目が覚めた。
自然の中での朝は、なんてすがすがしいのだろう。
空気も澄んでて気持ちがいい。
呑気にも、川沿いを散歩気分で歩いている。
「たぁ」
ん。
何か聞こえた?
「とりゃ」
人の声だ。
警戒して、近くの木の上から辺りを見渡してみると……。
そこにいたのは、寝っ転がったゴンだった。
呑気なのは私だけじゃなかったようだ。
ていうか空見て何してるんだろう。
と思ったら、急に座り込んだ。
何かを見てる?
しばらく見ていると、今度は川に向かって竿をふった。
朝ご飯でも釣るのかな。
あ、魚じゃなくて鳥が目当てらしい。
うーん。
魚のキャッチアンドリリースは聞いたことあるけど、
鳥のキャッチアンドリリースは聞いたことがない。
鳥って竿で捕まえるものだったっけ?
あまりにも真剣で、声をかけるのも気が引ける。
結局、意図が分からず、私はその場を去ることにした。
ゴンを狙ってた人も見えたけど、なんだか攻撃する気もなさそうだし放っておこう。
しばらく歩いていると、異様に目立つものが目に入った。
あれは…人みたいだな。
縛られてるうえに、何か書いてある。
えーと、なになに?
『エサは与えないでください!!』だって。
よく見ると、顔も膨れ上がってひどい顔になっている。
「…!」
あ、気づかれた。
「こんにちは」
声をかけながら、その人物に近づく。
「お前さんは確か、新人のネコだな」
新人…ってなんの?
疑問は言葉にすることなく、話を続ける。
「ええ、そうよ。あなたは確か、キルア達といた人よね」
見間違いでなければ、三次試験のギリギリ合格の時に一緒にいた人だ。
「ああ…そうなんだが…っうぅ」
え、ええ?
相槌うったかと思えば、いきなり泣き出した。
彼の名前はトンパ。
話を聞くと、その三次試験で共に戦った仲間に裏切られたとのことだった。
…クラピカとレオリオに。
二人はグルになって、とてつもなく卑怯な手でトンパのプレートを奪ったらしい。
にわかに信じがたい話だけど、そんなに嘘を言ってるようにも見えない。
ていうか、号泣レベル。
なんだか可哀想になってくる。
「あんた、強いだろ?俺のカタキをとってくれとは言わねェが、あいつらには絶対負けないでくれ…うぅ」
「…わかったわ。教えてくれてありがとう」
なんだか、頷くことしかできなかった。
紐を解いてあげようかという提案には、仕返しが怖いからとの理由で却下された。
よほど酷い目にあったのかな…?
クラピカは私のターゲットでもある。
どちらへ向かったかを聞くと、トンパの別の仲間との合流地点を教えてもらった。
よし、そこに向かってみるか。
ふふん。
うまくいったぜ。
ヒソカのお気に入りの変人女。
こいつをあいつらに仕向ければ…新人同士の潰しあいだぜ!
あれ。
あれれ?
どうしよう…完全に迷った。
せっかくクラピカの場所がわかりそうだったのに。
戻るか、進むか…考えるが、だんだん面倒になってきた。
んーーっと伸びをする。
木漏れ日が気持ちいい。
程良い風、爽やかな木々の音。鳥の声。
この大自然まるごと、癒し効果抜群だ。
最高にリラックスモード。
なんだか、頭が冴えて力まで漲ってくる。
…あっちの方角に何かありそうな気がする。
根拠はないけど。
こういう時の感ってあたりそうじゃない?
ネコはどうしているかな。
なんて、無意識のうちに考えている自分に笑ってしまう。
だけど悪い気はしない。
むしろなんだか気分がいい。
ボク(正確には血だけど)に寄ってくる好血蝶すら、可愛く見えてくる。
ピピピ
不意に携帯が鳴った。
電話の主はイルミ。
情報通の彼は誰が何番かがわかっている。
あえて聞かないのは、単純に面白くないから。
3点じゃなくてもボクは別に支障ないからね。
ただ3人狩ればいいだけ。
だけど、待てども待てども獲物は網にはかからない。
瀕死の雑魚が一匹。
「さあ、出てきなよ」
ああ……。
早く、強くなったネコを壊したい。
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2013.07.11
トンパm9(・∀・)ザマァ
単行本の合間を縫い縫い(・ω・)
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