こんなサバイバルの中、完全に寝ることなんてできるわけがない


A person one yearns for #14


ほどほどに睡眠をとった私は、朝早くに目が覚めた。
自然の中での朝は、なんてすがすがしいのだろう。
空気も澄んでて気持ちがいい。

呑気にも、川沿いを散歩気分で歩いている。

「たぁ」

ん。
何か聞こえた?

「とりゃ」

人の声だ。
警戒して、近くの木の上から辺りを見渡してみると……。
そこにいたのは、寝っ転がったゴンだった。

呑気なのは私だけじゃなかったようだ。
ていうか空見て何してるんだろう。

と思ったら、急に座り込んだ。
何かを見てる?

しばらく見ていると、今度は川に向かって竿をふった。
朝ご飯でも釣るのかな。
あ、魚じゃなくて鳥が目当てらしい。

うーん。
魚のキャッチアンドリリースは聞いたことあるけど、
鳥のキャッチアンドリリースは聞いたことがない。

鳥って竿で捕まえるものだったっけ?

あまりにも真剣で、声をかけるのも気が引ける。
結局、意図が分からず、私はその場を去ることにした。

ゴンを狙ってた人も見えたけど、なんだか攻撃する気もなさそうだし放っておこう。






しばらく歩いていると、異様に目立つものが目に入った。
あれは…人みたいだな。

縛られてるうえに、何か書いてある。

えーと、なになに?
『エサは与えないでください!!』だって。

よく見ると、顔も膨れ上がってひどい顔になっている。


「…!」

あ、気づかれた。

「こんにちは」

声をかけながら、その人物に近づく。

「お前さんは確か、新人のネコだな」

新人…ってなんの?
疑問は言葉にすることなく、話を続ける。

「ええ、そうよ。あなたは確か、キルア達といた人よね」

見間違いでなければ、三次試験のギリギリ合格の時に一緒にいた人だ。

「ああ…そうなんだが…っうぅ」

え、ええ?
相槌うったかと思えば、いきなり泣き出した。

彼の名前はトンパ。
話を聞くと、その三次試験で共に戦った仲間に裏切られたとのことだった。
…クラピカとレオリオに。
二人はグルになって、とてつもなく卑怯な手でトンパのプレートを奪ったらしい。


にわかに信じがたい話だけど、そんなに嘘を言ってるようにも見えない。
ていうか、号泣レベル。
なんだか可哀想になってくる。


「あんた、強いだろ?俺のカタキをとってくれとは言わねェが、あいつらには絶対負けないでくれ…うぅ」


「…わかったわ。教えてくれてありがとう」


なんだか、頷くことしかできなかった。

紐を解いてあげようかという提案には、仕返しが怖いからとの理由で却下された。
よほど酷い目にあったのかな…?

クラピカは私のターゲットでもある。
どちらへ向かったかを聞くと、トンパの別の仲間との合流地点を教えてもらった。

よし、そこに向かってみるか。







ふふん。
うまくいったぜ。

ヒソカのお気に入りの変人女。
こいつをあいつらに仕向ければ…新人同士の潰しあいだぜ!






あれ。
あれれ?

どうしよう…完全に迷った。

せっかくクラピカの場所がわかりそうだったのに。

戻るか、進むか…考えるが、だんだん面倒になってきた。


んーーっと伸びをする。


木漏れ日が気持ちいい。

程良い風、爽やかな木々の音。鳥の声。
この大自然まるごと、癒し効果抜群だ。
最高にリラックスモード。

なんだか、頭が冴えて力まで漲ってくる。


…あっちの方角に何かありそうな気がする。


根拠はないけど。
こういう時の感ってあたりそうじゃない?













ネコはどうしているかな。
なんて、無意識のうちに考えている自分に笑ってしまう。
だけど悪い気はしない。
むしろなんだか気分がいい。

ボク(正確には血だけど)に寄ってくる好血蝶すら、可愛く見えてくる。


ピピピ


不意に携帯が鳴った。
電話の主はイルミ。
情報通の彼は誰が何番かがわかっている。

あえて聞かないのは、単純に面白くないから。

3点じゃなくてもボクは別に支障ないからね。
ただ3人狩ればいいだけ。





だけど、待てども待てども獲物は網にはかからない。
瀕死の雑魚が一匹。


「さあ、出てきなよ」


ああ……。
早く、強くなったネコを壊したい。





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2013.07.11
トンパm9(・∀・)ザマァ
単行本の合間を縫い縫い(・ω・)

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