感はあくまでも感なんだよね…。


A person one yearns for #15


今日で三日目。
サバイバル生活にも多少慣れてきたみたい。
昨日よりもよく眠れたし。

結局昨日、あの後特に何もなかったのよね。
負傷者やら死体やら、少しずつ目につくようになってきたけど。

そろそろ6点揃えないとまずいかな。



昔よくやってた遊び。
一人で森と同化して遊んでいた。

子供の時は森と同化していたようで嬉しかった。
でも本当は同化してるんじゃなくて、単純に自分の存在を消していただけだった。

無意識な遊びが、まさか狩りに役に立つなんてね。



あ、人発見。

一点を見つめすぎていて周りに目がいっていないようだ。
一応隠れてはいるみたいだけど。

その視線の先を追うと…。


キルアがいた。


「いくらつけまわしたって、オレはスキなんかみせないよ」

ていうか、キルアを尾行しているであろう彼は、キルアにもバレバレだった。


その光景がツボに入りそうなのをこらえつつ、その人を観察してみた。
…どこかで見たことあるような。
それもつい最近。

というか、この島に入ってから。

えーっと…。



考えている間に、しびれをきらしたキルアがこちらに向かってくる。
木の陰に隠れているから、尾行の彼にもキルアにも私は見えないはずだけど。

すると、別の方向からある二人組が現れた。



「!!」



間違いなく、あの二人だった。
私のプレートを奪った二人。

彼らは三兄弟のようだ。



そして彼らは、なんなくキルアにやられてしまった。
うん、すべてにおいて弱い。



そしてそんな彼らにプレートを奪われた私は………。



このハンター試験最大であろう自己嫌悪に陥りつつ、
せめて彼らがもう少し強くあって欲しかったと、自分勝手なことを思ってみる。


キルアによって、彼らのプレートが奪われ、そして飛ばされてしまった。
そのままキルアは去り、彼らはくやしがっていた。

「くそっ!」

「俺らが集めた分すべて1枚残らず全部盗られてるぜ…」



えっ。
それって、私のプレートもキルアの元にあるってこと?

キルアは私の番号を覚えている…はず。
初対面の時にはっきり見られてたし、記憶力よさそうだったし。


戦意喪失している彼らに仕返しする気も起きない。
というか、見たくない。
あれはまぎれもなく、昨日の私。



私は急いでキルアの後を追った。









…これってやっぱアレだよな。

歩きながらあるプレートを眺める。
プレートには"58"と書かれている。

間違いなく、ネコがつけていたプレートだ。



まさか…あんな奴らにプレートを奪われたのか?



オレが後ろとられるなんてそうそうない。

飛行船だからって油断していたわけでもねぇのに、
ネコはいとも簡単にやってのけた。


何かがズレている。

ネコという女は調子が狂う。
セオリーじゃないっていうか…。

スゴくなさそうなのにスゴい。
スゴそうなのにスゴくない。

そんな感じっつーか。


あーー、結局よくワカンネ。



頭を掻こうとしたその時。




「だーれだ」




いきなり目隠しをされた。


今まさに思い浮かべていた張本人、ネコに。

「何?つーか、声でバレバレだっつの」


「…ていうか何で驚かないの?つまんない」

あらゆる拷問を受けているオレは、ただ身体が反応しなかっただけで、
内心ビックリしてしまった。
それでも、ハッタリは大事だ。


「ネコが来るのわかってたし」


本当はそんなこと、微塵も思っていなかった。
目隠しをされる瞬間も気づかなかった。


「あ、やっぱり?」


手は降ろされたものの、ネコはまだオレの後ろをとったままだ。
のんきに答えるネコとは裏腹に、オレは焦っていた。
もちろんそんなことは微塵にも見せないけど。

「私のプレート、持ってますよね?」

なんで急に敬語なんだよ。
しかも疑問形なのに確信してんじゃねーか。

「もってたら?」

素気なく答える。
うーん、と少し唸ってからネコは言った。

「キルアと戦いたくないから…もらえないかな」

「いいけど、貸しは高いよ」

まともに戦ったら勝てない。
頭は"逃げ"でいっぱいだった。

「えっ!いいの?ありがとー!」

ネコがそういった瞬間、
ふと、身体が軽くなったような気がした。

殺気があったわけでもない。
なにか得体の知れないプレッシャーが解放されたような。


大げさにプレートを見つめて感動しているネコをよそに、オレは大量の冷や汗をかいていた。







「それで?」


自分のプレートが自分の手元にあることが嬉しくてしょうがない私に、キルアは話を続けた。


「何であんな弱いやつらに盗られたわけ?」


…なんとなーく、言葉にトゲを感じる。
なんでか想像はつくけど。


「えーと、いろいろとショッキングな事件がありまして…その隙に…」


ボソッ 「なんだ、ヒソカが原因かよ」


「えっ!?」

今、ヒソカって聞こえた気がするのは…聞き間違い?


「なんでもねーよ」


あたふたする私とは違い、キルアはいたってクールだ。

完全に気配を消したと思ったのに、キルアにはバレてたし。


私より全然年下なのに…。
殺し屋ってダテじゃないんだなぁ。



「そういえばキルアのカゾ」

そう、言葉を発した瞬間。

私に殺気が向けられた。


目の前のキルアからではなく、何故か地面から。



地面を見ると、何か掘ったような跡が残っていた。

まさか、イルミの念?


『キルに言ったら、殺すよ?』


頭の中で、イルミの声が反覆する。


い、いや、決してキルアにイルミのことを話そうと思ったわけじゃなくて、
キルアからイルミのこと聞きたかっただけなのに。

それもタブーらしい。



「オレの…何?」


当然のごとく、キルアは怪訝な顔で聞き返してきた。

「あ、いや、なんでもない」

「ふーん…ま、いいけど」

全然うまく誤魔化せなかったけど、キルアは興味なさそうだ。
助かった。



「あー、貸しなんにしよっかなー」



そういえば、そんなこと言ってたな。
心もち、キルアが楽しそうに見えるのは、気のせいであってほしい。



「このハンター試験中にすっげーの考えとくかんな!」



そういって意地悪そうに笑ったキルアは、年相応の顔をしていた。


「お手柔らかに、ね…?」

お互い6点集まったこともあって、
キルアとは気持ちよく別れた。





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2014.01.31
久しぶりに更新したのに、ヒソカでてこず…。
今回はキルアひいき目だけど、間違いなくヒソカ夢です><
ほら、、この時ヒソカ忙しいし^^;


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