ヒソカのバーカ…


A person one yearns for #12


あまりにもタルい試験。

ようやく、次の試験は少し楽しめそうだと思った。
ネコの力量を見るにも都合がいい。
1番に出発したボクは、ネコが来るのを待った。

やってきたネコは鬼気迫るものがあった。
何かに追われているような、何かを探しているような。

何を?

少なくともボク(人)ではなさそうだ。
距離をとって少し様子を見てみる。

その何かを見つけたらしいネコは滝の裏の方へ向かっていった。
それをボクは高い位置から見守る。

隠れて奇襲攻撃でも考えているのか。
いや、ネコはそんなタイプではないはず。

考えているうちになんとも言えぬ威圧感。
これは…円。


ゾクッ


…まさか円まで使えるなんてね。
良い意味で裏切られ、ボクの感度は上がっていく。

離れていて正解だった。
残念ながらここまでは届いていない。
このまま範囲に入ればネコはどんな反応をするだろうか。

と思ったが、猶予もなくそれは消えた。

代わりに今度はネコが全く感じられなくなった。
やはり何かをする気だ。



ククク…
駄目だよネコ。

周りに人がいないとこを確認し、自らの気配を絶つ。

一見良さそうだが、あまりにも杜撰な作戦だ。
おそらくネコは安心していることだろう。

位置を知っているボクには意味がない。
むしろ逆に不自然すぎる。

1対1の決闘ならばネコは強いのだろうが…

対人、ハンター要素に関しては全くの素人。
もっと経験を積んでしまえば…


ククク…まだまだネコは伸びる。
落胆よりも期待の方が大きい。

ボクは滝へと向かった。







……?

この暗闇のスペースはそんなに広くはないが、ネコがいない。
歩くとすぐに壁にあたってしまう。

そこで、足元に違和感があった。

石ではない、柔らかい感触。
それを拾ってみると布だった。

………

一瞬だけ、思考が止まる。
あまりにも予想外のことで呆気にとられてしまった。
まさかの、水浴び。

ここにボクがいたらさぞかし驚くことだろう。

置いてある服とは逆側の壁で、ネコが来るのを待つ。
その時間は"待つ"までもなく、"すぐ"だった。




「…誰?」




完全に気配を断っているのにこの一言。
それだけに惜しい。
実力があるのに、この状況を作り出してしまう未熟さ。

ボクが声を発すると、案の定、ネコは驚いた。

一向にあがる気配のないネコを無理やりあがらせる。
見えないとはいっても、人前で着替えるなんて一般的には恥ずかしい行為なのだろう。

暗闇で見えないせいもあるだろうが、慎重に着替えるネコ。
この状況で警戒しないほうがおかしいだろうが、その様子に思わず笑みがこぼれる。


「クックック…そんなに警戒しなくても何もしないよ」


隙を見せるネコが、慌てる様が可愛いと思ったが、何もしないつもりだった。
念の使い方についてヒントでも出して去ろうとした。


…だが。


ふと、考えてしまった。
もしここにいるのがイルミやハンゾー(時間的に到達しそうな2人)だったら?

隙を見せているのはボクだからではない。
三次試験でイルミと一緒に出てきたネコと、ハンゾーと話しているネコの姿が脳裏に蘇る。
そして、この試験でもボクに見向きもしないネコ。


…ああ、面白くない。


一気に、気分が削がれた。
どうでもいい。

バンジーガムでネコの両手と壁をくっつけて抵抗できないようした。
何が起きたかわからないネコはそのまま、嫌々ボクの行為を受け続ける。

火事場の馬鹿力だろうか、ネコは全身で念を放出し、ボクを吹き飛ばした。
少しだけ進歩したネコに満足したボクは、飛ばされると同時にガムを解除した。


手加減したのは、どこかにまだもったいない気持ちがあったからか。


今度は、"どうでもいい"ことがどうでもよくなったボクは、その場を後にした。



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2012.08.27
ヒソカさん嫉妬ですか(ノωノ*)?←死
こんな気まぐれ方しそうw


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