待ち時間って退屈ね…


A person one yearns for #10


先に合格した人って、もっと待遇よくてもいいのに。
じっと待ちぼうけなんてつまんない。

唯一話せそうなキルア達は、全然来る気配もない。
あ、ヒソカは論外。

2次試験の時みたいに周りが自然ならまだ退屈はしないんだけど。




数時間後に出てきたのは、ボウズ頭の人だ。

周りを見渡して、ボウズの人はこっちにやってきた。
なんだろう…。

「よぉ、ヒソカと一緒じゃねーんだな」

また噂…と思いつつ、茶化してる感じではなく真面目な雰囲気に、言葉を飲み込む。
ていうか、初対面の言葉がこれってどうなの…?

「別に、ヒソカとは何の関係もないので」

彼の目的がよくわからず、多少無愛想になってしまう。

「そんな警戒すんなって。オレはハンゾー。あんたはネコだろ?」

なんだか、自分の知らないところで知られているって少し怖い。
警戒するなっていうほうが無理な話だ。

そんな私の態度も気に留めず、ハンゾーと名乗った男は話を続ける。

「アンタ、第二次試験に一発合格したってホントか?」



「どうしてそれを?」

それを知っているのは試験官の二人と、ヒソカだけだ。
ヒソカにいたっては、信じてくれたかどうかも疑わしいけど。

「あの女試験官達が言ってるのが聞こえたんだよ。やっぱり本当だったか」

あ、メンチ達はちゃんと覚えててくれたんだ。
…じゃあなんで合格者ゼロっていったんだろう。
過ぎたことだし、こうして試験続けられているから別にいいけど。

「寿司を知ってるってことは、ネコもジャポン出身なのか?」

『も』って言った?

「もしかして、ハンゾーも?」

「やっぱそうかー!!テンションあがるぜ!」

まさかの、同じ出身者。
珍しくはないのかもしれないけど、小さい島国だし、なんか純粋に嬉しい。

ハンゾーは忍だと言って、名刺を渡してきた。
忍って本当にいたんだ…。

同じ国でも、住んでいたところはだいぶ離れていた。
言ってしまえば、ハンゾーは都会の方の隠れ里、私は田舎の閉鎖的な村。

楽しそうに話すハンゾーに、私も自然と笑顔になる。

ハンゾーの話は面白かった。
メンチと派手に喧嘩して負けてしまったらしい。
あの時の怒鳴り声は、メンチとハンゾーだったのか。

そして、彼女を怒らせた張本人でもあり、
合格者ゼロにしたのはハンゾーのせいということも判明した。

なるほどね。

別に協力プレーしてたわけじゃなかったのか。
なんとなく一安心。

「ところでよ、本当にヒソカとは何の関係もねェのか?」

また、その話…。

「うん、ないよ。噂はまったくのでたらめだから」

少々語尾が強くなったのは、『ヒソカ』に過剰反応しているのかもしれない。

「噂どうこうってことじゃないんだが…アンタも災難だな」

「え…それってどういうこと?」

「いや、なんでもねェ。じゃあまたな」

一方的に話しかけられ、一方的に話を終わらされ、ハンゾーは別の場所へ行ってしまった。
なんだかなぁ。

しばらくハンゾーを見ていると、離れたところで逆立ちしだした。
訓練…かな?

ヒソカは何故か殺気立ってるし。
あまりに暇すぎて怒っているのかな?
気にしない、気にしない。

そう思うと何故か逆に気になってしまう。
悪循環だ…。






ふー。
ネコの元から去った後、オレは逆立ちして精神統一することにした。

ネコが警戒している時にはなんともなかった。
それなのに、ネコが笑った瞬間。
一気に空気が重たくなりやがった。

もちろん、原因はヒソカの殺気。

最初のうちは我慢できていたが、
どんどん膨らんでいく殺気にオレは耐えられなくなった。
情けないが、ヒソカには勝てる気がしねぇ。
今はまだ…な。

ネコの元から離れると、オレに対しての殺気はなくなった。
近寄るなってことかよ。

間近で見ると一段と可愛かった。
試験が終わったら一緒に国に帰りてぇな…。
なんて淡い期待をしてみる。

…ヒソカさえいなければ。







20時間。

40時間。

60時間。

ちらほらと、合格者が出てきた。
今15人くらいかな?

70時間。

残り時間もあとわずか。
合格した途端に息絶えた人もいた。

キルア達は…まだ来ない。

残り1分。

クラピカ、ゴン、キルアが出てきた。
3人だけかと思ったら、その後からレオリオともう一人知らない人が出てきた。
仲間が増えたのかな?

5人で何かと盛り上がっている。


「タイムアップーーー!!」

「第三次試験、通過人数26名!!(内1名死亡)」

終わった…長かった…
待ち時間…

塔を出ると、また別の試験官がいた。
どうやら、試験は残り2つらしい。

次の試験はまた別の島。
また、移動かぁ。
船は休めるからいいけど。

と、その前に。

クジを引くことになった。
周りがざわつく。

「これで一体何を決めるんだ?」

誰かが言うと、試験官がニヤリと答える。
もともとそういう顔にも見えるが。

「狩る者と狩られる者」

どうやら受験番号のくじを引いて、狩る者を決めるらしい。
すなわち、狩る者がいるということは、狩られる者もいるということだ。

全員狩る者で、全員が狩られる者。
ハンターって感じだ。

自分のプレートと狩る者のプレートが3点、それ以外は1点。
期日までに全部で6点集めると合格らしい。
サバイバルだなぁ。

私が引いた番号は…404番。

確か、ゴンかクラピカのどっちかだ。
ゴンを見るとまだ胸にプレートをつけていた。
405番だから…私のターゲットはクラピカか。

奪いにくい…
下手に知り合いを作るとこうなるんだな。
プレートは6点集めればいいんだから、別の人でもいいか。

船の中はギスギスしていた。
理由は言うまでもなく、クジのせいだ。

ほとんどの人はプレートを隠し、疑心暗鬼に陥っている。

受験生同士戦うのは、これが初めてだ。
一次試験のヒソカは勝手に戦っていたけど。


狩りなんて初めてだから、少しだけ楽しみ。

(…それにしても、お風呂に入りたい)





-------------------

2012.07.26
ゴゴゴゴゴ…(`・ω・´)
ヒソカ出さないなりに楽しいな♪(・ω・)←死亡フラグ

[ 10/16 ]

[*prev] [next#]
[list]



[Top]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -