ストレス発散には、身体を動かすのがいちばん!


A person one yearns for #09


ヒソカの元から離れ、キルア達のところへ行くと二人はその場所にはいなかった。

残りの時間は何もせず、じっと身体を休めた。
誰かさんのせいで、心はちっとも休まらなかったけど…。

ああ、身体動かしたいなー。






到着予定時刻より1時間半ほど遅れて、第三次試験の場所へ着いた。

見渡す限り、何もない。
降りた先はどうやらタワーのてっぺんらしい。

『トリックタワー』

試験内容は、生きて下まで降りてくること。
制限時間は72時間。

スタート。

…っていったって、何をすればよいのやら。

外壁をつたって降りる人がいたが、怪鳥に食べられてしまった。

うーん。
トリックタワーか。
何か仕掛けがあるに違いない。

歩いていると、微妙に違う音がした。

おお?

調べてみると、なんと、隠し扉を発見。
運がいいな私。

とりあえず入ってみよう。







降りた先は、1つだけ扉があった。
扉の横に何か書いてある。


『野獣の道』

君は 野獣達を倒し
ここからゴールまで辿り着かなければならない


…わかりやすいな。

戦闘になるのは間違いない。
とりあえず、扉をあける前に準備運動。

扉をあけると、そこには数えきれないくらいの男たちの数。
体格は皆私の倍はある。

一気に私へと視線が集まった。

「女だーーーーーーー!!!」

「「「おおおおおおおおお!!!」」」

すごい熱気だ。

「「犯れ犯れーーー!!!」」

「「廻せ廻せーーー!!」」

汚い野次が飛ぶ。
本当に汚い。
さすが野獣と呼ばれる者たち。
少々熱気に気押される。

「ぐひひ、お嬢ちゃん、降りる場所間違えたな!!」

1対多という精神的に苦痛な道なのだろうか。

わかりやすくていい。
全部、気兼ねなく倒せばいいのだから。
ざっと見た感じ、数は多いが実力は全然大したことはない。

…今の私にはもってこいの道だ。
ストレス発散!


「?」

「ぐああ!」
「ぐは!」

「なんだ!?」
「うっ!」

野獣達の前に一筋の風。
通り過ぎたころには、立っている者はいなかった。




ネコは別に、何かしたわけではない。
単純に基礎能力の差。
野獣達からすると、ものすごいスピードで何が何か分からない状態。
しかし、立っていた者はいなかったが、死んだ者もいなかった。





ふー。
暴れた暴れた。

といっても、汗1つもかいてないけど。
でも、ストレス発散にはなったかな。

次の扉を開く。

「!」

「……」

そこにいたのは…あの気味の悪い301番だった。
やっぱり、カタカタと言っている。

(ヒソカのお気に入り、か)

何を考えているかわからない301番としばし見つめ合う。
というか沈黙状態。
カタカタカタという音だけが部屋に響く。

な、何か話さないと…。


「キミ、何者?」

どこかで聞いた言葉。
っていうか、この人しゃべれたんだ。

「えーと…ネコです」

「ふーん」

「……」

なんとなく、しゃべりづらい。
間が持たない。

あ、そうだ。
1つ思い出した。

「あなたはキルアと何か関係があるの?」


ピリッ


え!?
なんで?

急に、301番の雰囲気が変わった。

「いやあの、キルアと話している時、あなたの視線を感じたから」

「……」

これって、言っちゃまずかったのかな。
見た目は変わらないが、明らかに戦闘態勢。

気を抜けないまま、やはり沈黙状態。

(隙がないな)

先に沈黙をやぶったのは彼の方だった。

「キルはオレの弟だよ」

「!」

弟…。
ってことは、お兄さん?
ってことは

「あなたも殺し屋?」

「うん」

…あれ?
キルアは冗談みたく言ってたけど、
この人にいたっては、あっさり認めている。
殺し屋ってこんなにオープンでいいんだっけ?


「キルに言ったら、殺すよ?」


ということは、キルアは兄だと思っていない。
つまりこの人は変装してるってことだ。

だよね。
こんな気味悪い人がお兄ちゃんなはずないよね。
名前聞きそびれていたけど、登録名もおそらく偽名なのだろう。

「わかったわ。…あなたの本当の名前は?」

「イルミ」

イルミ、か。
これも偽名だったりしないかな?

「よろしくイルミ」


さて、試験再開。

扉は3つ。
どうやらここは、合流の部屋だったようだ。

1つは私が出てきた扉。
もう1つはおそらくイルミが出てきた扉。

そして、もう1つの扉の横にはこう書いてある。


『魔獣の部屋』

野獣の群れでも歯が立たない 魔獣が住む部屋
協力して戦ってください


イルミに目配せして扉をあけると、
そこには普通の人の数倍もの大きさの…人?

確かにさっきの野獣達よりは強そうだけど、
それでも、ヒソカやイルミに比べたら全然だ。

イルミは動く気がなさそうだったので、一人で片づけた。


第三次試験、案外あっけなかったなぁ。

その後特に、イルミと話すこともなかった。
もともと無口なのかな?


扉をあけると、ヒソカが見えた。
ヒソカもこちらに視線を向け、相変わらずニヤリとしている。

「早く退いてくれない?」

「あ、ごめん」

一瞬振り向いて、すぐに広場へと出た。

対象が1人しかいないため、自然とヒソカを見てしまう。
何故か笑みはなくなっていて、わずかに驚いているように見えた。

気にせず、ヒソカからうんと離れたところに腰を据える。

所要時間は7時間7分。

待ち時間長いな…。

ヒソカとイルミを見て、ふと、あることに気がついた。
ヒソカが怪我をしている。

ゴン達との戦いを見ている時に思ったことがある。
ヒソカは、ある程度相手の実力に合わせて戦っているんじゃないかと。
もしかしたら、相手の実力を身を持って体感するのが好きなのかもしれない。

殺人狂で戦闘狂…危険人物すぎる…。


殺人…か。

10年前に私の村を滅ぼした殺人鬼。
私にとっては、唯一の生きる理由。

冷たい目。
有無を言わさない容赦ない攻撃。
髪は金髪だった。

覚えているのこれくらい。
後で考えると、少しカッコ良かったかもしれない。

10年も経てば、姿形も変わっている可能性がある。
…こんな情報で、探し人は見つかるのだろうか?

だからこそのハンター試験なのだが。

絶対見つけたい。
話がしたい。

話ができるかどうかもわからないけど。
会った瞬間、また攻撃されるかな?

それならそれでもいい。

ただ、一方的に殺されるような展開にはさせない。
そのために強くなったのだから。







物わかりのいいやつでよかった。

まぁ、あの中でなら殺してもよかったけど。

ヒソカなら勘づきそうだしね。
面倒ごとは避けたい。

実力は予想以上だった。
あの視線に気づくものはそうはいない。

正直、ネコにはあんまり興味はないが、
ヒソカの顔が面白かった。

もう少しちょっかい出してもよかったかな。




(…なんか、面白くないな)




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2012.07.11
ネムネム(ノω`)
最後のひとことはヒソカさんw

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