5、夜毎昼毎

あんたまるで、それしかしらない子供だな。



心底うんざりした声でネズミが言った。


「だって、愛を伝える表現が、こんなに素敵な事だなんて、授業で習っただけでは解らなかったんだよ」


「こんなことばかりやってたら、そのよく出来た頭が腐るぞ」


「そんなの迷信だよ。それとも、ネズミは僕が相手じゃ不服なの? 満たされない?」


真顔で問えば、ネズミはふいと横を向いてしまった。僕の下で体をよじらせるネズミはいつだって淫らで、プライドを保てないくらい行為に浸っている。けれど、もっと深い悦楽があるのなら、僕がそれを与えたい。

ネズミの過去のひとつひとつを、僕のものに変えて行きたい。


僕は、僕という人間の欲を知らずにいた。まさかこれほど何かを求めることが出来るだなんて、思ってもいなかった。

ネズミの応えがあるから、僕は貪欲になれる。ネズミが僕を捨てたりはしないと、たかをくくっていられる。


だから、僕は夜毎、昼毎、ネズミを求める。

体も、心も、僕と共にありますように。

[ 9/13 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -