たった四文字の"えいえん"あなたのたくましい腕をかき抱くたびに願ってしまう。
この温もりが、永遠でありますように、と。
「無理だろ」
「やっぱり?」
一息ついたソファーの上、ぴったりくっついた私と黒鋼。
まぁ、私が勝手に腕を組んで寄り添っていってるだけなんだけれど。黒鋼が拒否もせず、嫌がる素振りも見せないのをいいことに。
「いつかは死んじゃう?」
「生き物だからな」
「死んだら、離ればなれになっちゃうね」
寂しいよぅ、と言わんばかりに彼の腕を抱き締めた。
それを上から見下ろす黒鋼は、反対の手で私の頭を撫でる。
「…心は、どうだかな」
ふと物思いにふけったような横顔を見せて、すぐにもとの黒鋼に戻った。
何だったのだろうと首をかしげていれば、うっすらと笑みを浮かべた唇を額に寄せてくれる。
「ま、そもそもの話、永遠なんて存在しねぇ」
「そうなの?」
「あっちゃならねぇんだよ、そんなもん」
諭すような口調で。
「そう思うだろ?」
私は少し考えて、でも、と口を尖らせた。
「でも私、黒鋼とずっと一緒にいたいよ」
「ああ。分かってる」
「黒鋼がいないと…私………、私…」
生きていけないよ。
「ああ」
「だから一緒にいてやるよ。死ぬまで」
永遠は望まない。
ただ、限りある刻を可能な限り一緒にいたいとは思う。
俺が願うのは
お前が願うべきものは
そんなちっぽけなものだ。
だけど何よりも難しく
他の何にも代えがたい
「最高級の、愛のかたちだね」
「分かりゃいい」
(了)
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